　このS4Rsは、ドゥカのスーパーバイク999のエンジンを積む、モンスターのなかでもっともホットなモデル。しかも、前後サスにオーリンズ、フロントブレーキにはブレンボのラジアルマウントキャリパーを装着するなど、足まわりの装備もスーパーバイク直系なのである。
　ハンドルはワイドで、跨った印象はストリートファイター。ネイキッドとしては上体はやや前傾しているものの、ライポジはフレンドリーなS2Rなどと同じで、果たしてこれでスーパーバイクのエンジンを御することができるものか、不安もよぎるが至って扱いやすい。
　低回転域に十分なトルクがありながら、レスポンスはスムーズで開けやすい。ゴツゴツ感もなく、スムーズなのだ。
　フル加速でも、7500rpmのトルクピーク前後が厚いトルクで覆われ、唐突さはなく、車体も安定している。しかも、高回転域が広範囲に高出力に覆われており、130psという高出力も引き出しやすく、爽快に10500rpmでリミッターが作動するまで伸びていく。
　ハンドリングも、スーパーバイク譲りだ。ただ、高いコーナリング性能をアップライトなライポジで引き出してやるには、メリハリよくコーナーに飛び込み、ハンドルにいらぬ力をかけないように、基本どおりにスポーツしてやりたい。
　でも、それがじつにマニアックで、親しみやすい素顔の一方で、S4Rsは無限に楽しむ可能性を秘めているというわけだ。

ライダー・文＝和歌山利宏　写真＝ドゥカティ、和歌山利宏

アナログ式速度計と回転計が組み合わされた二眼式メーターの基本デザインはSRモデル共通だが、文字盤はS4Rs専用である。

空冷2バルブのS2R、996エンジン搭載のS4RといったほかのSRモデル同様、ステアリングマウントのビキニカウルと丸型ヘッドライトを装着する。

Fフォークはオーリンズのφ43mm倒立型で、キャリパーはブレンボ製ラジアルマウント4パッド式。ホイールは999Sと同じY字型5本スポーク品だ。

フレームはほかのモンスターと同様ST3／4を基本としているが、S4Rsは小改良を受け、ねじり剛性が5％高められている

エンジンは、バルブタイミングや圧縮比など基本は999と同じだが、スロットルボディをφ54mmからφ50mmとしている。

写真は、キットパーツに設定されるテルミニョーニのマフラー。同じくキットのECUを組み合わせれば、148psを発揮する。

ホイールベース	1440mm
シート高	800mm
エンジン	L型2気筒4バルブテスタストレッタデスモドロミック水冷
排気量	998cc
ボア×ストローク	100×63.5mm
圧縮比	11.4：1
最高出力	95.7kW／9750rpm
最大トルク	103.9Nm／8000rpm
サスペンション	Fオーリンズ製43mmTiNコートフルアジャスタブル倒立フォーク Rプログレッシブリンクオーリンズ製フルアジャスタブルモノショックアルミ製片持スイングアーム
タイヤサイズ	F120／70×ZR17、R180／55×ZR17

試乗レポート ドゥカティ S4Rs

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