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カワサキ Zの最終進化型

1970年代後半、カワサキは、Z系のデザインを、それまでの丸みを帯びたものからエッジと直線を基調としたものに変更。それと同時に当時最新だったキャストホイールやトランジスタ点火などを採用したZ1000MkーU、Z750FXを発表。Zシリーズのイメージを一新した。

このデザイン変更に関しては、賛否両論あったが、若いライダー達を中心に、新しいファンを獲得。量産車最大排気量、水冷6気筒エンジンを搭載したモンスターZ1300も登場し、Zは男らしく迫力あるビッグバイクというイメージが作り上げられていく。

そんな新生Zで最大のヒット作となったのは79年にデビューしたZ400FXだった。この頃、大型免許を手にするには、免許試験場で合格率数パーセントという厳しい試験をパスしなければならなかった。このためオートバイ好きな若者の関心は、中型免許(現在は普通二輪免許)で乗ることのできる最大サイズの400ccクラスに集まった。

さらに当時、400ccには2気筒か3気筒エンジンしか存在しなかった。そんな背景もあって、ビッグバイクと同じ4気筒エンジンを搭載したZ400FXは、若いライダー達のハートを一気に掴んだのである。こうしてミドルクラスとしては空前のヒットとなり、注文しても納車されるまで数カ月待ちという状態が続いた。

80年代に入り、市販車をベースにしたレースが盛んになってくると、国内メーカーの性能競争は一気に激化する。他メーカーからは、水冷やV型というよりハイパワーなエンジンが登場。空冷2バルブというレイアウトを頑に守り続けたZはライバル達に性能で差を付けられるようになってきた。

そんな時代に登場したのが、空冷のままながら、より高度なチューニングを施し、高回転高出力型としたGPZシリーズだった。ただし、この時点で空冷2バルブエンジンは、すでに限界。空冷にこだわるカワサキも水冷エンジンへのスイッチを余儀なくされることになった。こうして80年代半ばには、Z1から始まった空冷エンジンの歴史がいったん幕を閉じることになるのである。

レースフィールドで活躍したセカンドジェネレーション

1980-1981
Z750FXU

カワサキ Z750FXU
エンジン 空冷DOHC 2バルブ4気筒
排気量 738cc
最高出力 74ps/9000rpm
最大トルク 5.7kg-m/8500rpm
中古平均価格 53.7万円

80年代に入って国内の750にも速さを求められるようになった時、カワサキが出した答えがコレ。超軽量コンパクトな車体にザッパーのエンジンをボアアップして搭載。鋭い走りが魅力だったが車体が小さいために市場での人気は今ひとつだった。

1981-1983
Z1000J

カワサキ Z1000J
エンジン 空冷DOHC 2バルブ4気筒
排気量 998cc
最高出力 102ps/8500rpm
最大トルク 9.3kg-m/7000rpm
中古平均価格 94.5万円

海外では、日本のような速さを求められることはなかったが、時代の変化についていくためZは大きく進化する。エンジンは様々な部分が強化され、キャブレターも扱いやすいCVタイプに変更。また車体も高速化に対して安定性を持たせるようになった。

1982
Z750Spectre

カワサキ Z750Spectre
エンジン 空冷DOHC 2バルブ4気筒
排気量 738cc
最高出力 78ps/9500rpm
最大トルク 6.0kg-m/7000rpm
中古平均価格 52.3万円

カワサキはこの当時、各排気量でロードスポーツをベースにしたアメリカンモデルを発売していた。これもそんな1台。油断するとロードスポーツ顔負けの速さを発揮する。走りも乗り心地もアメリカンな雰囲気も全部揃った欲張りなマシン。

1982-1983
Z750GP

カワサキ Z750GP
エンジン 空冷DOHC 2バルブ4気筒
排気量 738cc
最高出力 78ps/9500rpm
最大トルク 6.0kg-m/7000rpm
中古平均価格 53.6万円

国内向けマーケットの起死回生を目指し、Z750FXUの次に送り出した走りのZ。軽量な車体はそのまま、迫力あるデザインに変更されただけでなく、この当時としては珍しいインジェクションを装備。パンチのある加速でライバル達に立ち向かった。

1982-1984
Z1000R

カワサキ Z1000R
エンジン 空冷DOHC 2バルブ4気筒
排気量 998cc
最高出力 102ps/8500rpm
最大トルク 9.3kg-m/8500rpm
中古平均価格 133.6万円

エディ・ローソンがアメリカのAMAスーパーバイクレースでチャンピオンになったことを記念して発売されたモデル。Z1000Jをベースにビキニカウル、4into1タイプマフラー、専用リヤホイール、段付きシート、専用カラーを採用。当時はそれほど注目されなかったが90年代に入ってから日本で突然ブレーク。数多くのマシンが逆輸入された。

1982
KZ1000S1

コチラは生産台数30台!
メーカー製市販レーサー

カワサキ KZ1000S1

アメリカで行われていたスーパーバイクレースに参戦するために作られた市販レーサー。ここまで作り込まれたマシンがメーカーから発売されることは珍しかった。このマシンを使ったエディ・ローソンは、82年のAMAスーパーバイクレースで、81年に続いてチャンピオンを獲得。生産台数が少なかったこともあり、カワサキマニアの中では、コレクターズアイテムとしての価値が高い1台。中古車が出回ることはまずない。


エンジン 空冷DOHC 2バルブ4気筒
排気量 998cc
最高出力 130ps over
最大トルク N/A

目まぐるしく変わった空冷Zの最終進化型

1981-1982
Z1100GP

カワサキ Z1100GP
エンジン 空冷DOHC 2バルブ4気筒
排気量 1089cc
最高出力 100ps/8000rpm
最大トルク 9.8kg-m/7000rpm
中古平均価格 no data

Z1000Jをベースとし、より高いパフォーマンスを求め、エンジン排気量を1100ccまでスープアップ。燃料供給にインジェクションを採用したモデル。性能は十分だったが、Z1000の進化版的モデルは目新しさにとぼしく、多くのユーザーの目は、続々登場してくるニューモデルの方に向いてしまっていた。

1983-1985
GPz1100

カワサキ GPz1100
エンジン 空冷DOHC 2バルブ4気筒
排気量 1089cc
最高出力 120ps/8750rpm
最大トルク 10.2kg-m/7000rpm
中古平均価格 50.6万円

空冷の可能性を追求した結果登場したモデル。1100ccにインジェクションを組み合わせ、最もパワフルかつ完成された空冷2バルブとなったが、このモデルでZ1から続いた流れは途絶えることになった。(ゼファーはZ650のザッパー系エンジン)

1982-1983
Z400GP

カワサキ Z400GP
エンジン 空冷DOHC 2バルブ4気筒
排気量 399cc
最高出力 48ps/10500rpm
最大トルク 3.5kg-m/8500rpm
中古平均価格 60.8万円

400クラスがパフォーマンス争いになった時もZ400GPは2バルブを守り通した。それでも4バルブのライバルに負けずクラス最高の48馬力を発生させ、リヤショックにユニトラックサスペンションを採用するなどして走りの性能を追求した。

1983-1985
GPz750

カワサキ GPz750
エンジン 空冷DOHC 2バルブ4気筒
排気量 738cc
最高出力 77ps/9500rpm
最大トルク 6.4kg-m/7500rpm
中古平均価格 41.5万円

Z750GPの後継にあたるモデル。ザッパー系のエンジンを剛性の高いフレームに搭載。フロントにアンチダイブ、リヤにユニトラックサスペンションを組み合わせている。燃料供給は、インジェクションから一般的なキャブレターに戻されているものの動力性能も向上。水冷のGPZ750Rが発売されてからも、しばらく人気が続いた。

1983-1985
GPz400

カワサキ GPz400X
エンジン 空冷DOHC 2バルブ4気筒
排気量 399cc
最高出力 54ps/11500rpm
最大トルク 3.5kg-m/9500rpm
中古平均価格 33.8万円

750や1100の兄貴分達と寸分違わぬデザインを採用。大きな車体とカウリングでビッグマシン並みの迫力が人気だった。動力性能は48馬力でこのクラストップながら、ハイスピードクルージングも余裕でこなす完成度の高さが魅力だった。

1983-1984
750turbo

リッターバイクを凌駕する
パワーと速さが与えられた

カワサキ 750turbo

オートバイの新しい可能性を追求した日本のメーカーがこの当時目指したのがターボ装着のマシン。カワサキもGPz750をベースにターボを装着して発売した。同じ時期に国内4メーカーがターボを発売したが、このモデルはライバル達に比べるとターボが作動した時、パワーの盛り上がりが大きく、ターボらしい加速が体感できると言われていた。スタンダードなGPZとの違いはエンジン部を下までカバーする大きなカウリング。


エンジン 空冷DOHC 2バルブ4気筒+ターボ
排気量 738cc
最高出力 112ps/9000rpm
最大トルク 10.1kg-m/6500rpm

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