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カワサキの250TRは、トコトコとのんびり走るのにちょうど良い。小さくて軽いから、Uターンしたり、押して歩いたりするのもラクチン。極端な言い方をすれば、まるで原付を扱うように気楽に乗りまわせる。細い道に入って行ったり、舗装路から外れて走ることが、むしろ楽しいバイクだ。
養老渓谷駅は、周囲を山に囲まれているような環境にある。ちょっと走ればすぐに、里山のなかに入り込める。平坦な土地があれば、林が途切れて田んぼが現れ、また地形に合わせるように林が現れる。……そういう景色がそこかしこで見られるような土地だ。
目指した大福山まで案内看板の通りに進んで行くと、クルマがすれ違えないような狭い幅員のところも通る。場所によっては小型自動車でも車幅ギリギリの、両脇が切り立った場所もある。ちゃんと名前がついているような林道に出れば、思わずほっとするほど心細い道を経由するのだ。
とはいえ、舗装された林道は、ほどよい速度で走ってさえいれば非常に快適だ。この日は平日だったからなおさらかもしれないが、クルマとも、バイクとも、人ともほとんどすれ違わない。厳密には自転車と大型バイク、郵便配達バイクのそれぞれ1台ずつを見ているのだが、平均すれば1時間にたったの1度しか、ほかの交通に出くわしてないことになる。もちろん信号なんてものもない。
そういう寂しげな林道だから、ワインディングを存分に楽しむことが出来る。さらに言えば、気に入った景色が目に入ったときや、道路の分岐に差し掛かったときには、そのたびにバイクを道路横に停車しても、だれの迷惑にもならない。だから、とことん自由に、のんびりと自分なりのペースで走ることができてしまう。
養老渓谷では、そんなふうに走れる山間の舗装路が一本だけじゃなく、あちこちで枝分かれして、ほうぼうに続いている。さすがに満足いくまで走りまわる時間はなかったので、日を改めてもう一度訪れたいと思ったほどだ。まあ、それもこれも250TRあっての話し。取りまわしも軽く、扱いやすい250TRだから、気になったダートに躊躇なくひょひょいと入り込めるのだ。
そして、大福山の展望台に登ると絶景が待っていた!
この展望台からは、房総半島のほぼすべてが見渡すことができる。眼下は木々に覆われた山々だが、全体に低めの山にぐるっと囲まれているので、展望台からは遠方まで望むことが可能。晴天のこの日は、西を向けば東京湾が、東は太平洋まで一望できた。
ちなみに、大福山まで寄り道をせずに進むのであれば、通る林道は全線舗装路。オンロードモデルだって行けちゃうはずだ。
地図に載っていないような山道に入るときは、事故や遭難など、いろんな面で気を付けなきゃならない。けれど、無茶さえしなければ臆病になる必要はない。最悪のときでもちゃんと来た道を戻れるよう考えて進めばいいだけだ。
それよりなにより最近は、全国的に走れるダートが減っているのが現状。だから、散策したくなるような未舗装路に出くわせるだけでも養老渓谷は素晴らしい。しかも、同じ関東圏内。その気になればいつでも出掛けられる距離も嬉しい。『房総半島のど真ん中にはバイクで楽しく走れる場所がまだたくさん埋もれている』。それが、今回のツーリングを通して分かったことだ。
暖かい季節がやってきたら、今度は野宿の道具を積んで、もう一度走りに行きたいな。
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