フィクションの投稿検索結果合計:2枚
「フィクション」の投稿は2枚あります。
フィクション、(〃´o`)=3、TTT2B、お願い、とか言ってみる などのタグがよくつけられています。投稿されたツーリングスポット情報・カスタム事例などフィクションに関する投稿をチェックして参考にしよう!
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フィクションの投稿一覧
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2020年05月29日
63グー!
TTT2B
「ガァーッ!く○ッたれがッ!」
俺はヘルメットの中、思いのままに毒づく。
走っても走ってもキリがない!
沸騰しそうな頭、左右に高速で流れていく風景、そしてーー
ブォンブォンブォンブォン!
後方より、幾つものコールが俺を威嚇する。
ミラーを一瞥。
ヘッドライトをパッシングさせ、5台のバイクが俺に世界共通の友好サインを出していた。
なんでこんなことにッ?
決まってる。
「おいッ コラ!てめぇ調子くれて逃げてんじゃねぇぞッ!」
「人の真ん前でカマしおって、逃がすかボケェッ!」
間近に迫ったライダー達が怒号を飛ばす!
……ああ。誰か助けて下さい。
約30分前。
20代も半ばを過ぎた頃。フリーターとして、このまま流されて生きていくのかと人生を悲観してしまい、旅に出ることにした。
相棒はDR-Z400SM。
大学時代に悪い先輩から二束三文で買ったモタード。
働き始めてからは公私共にこき使った過激で楽しい最高のバイク。
九州を周った、中国地方を横断した。
だが、そうこうしている間に貯金も尽きて、また働こうかと思って、この町に住み着いた。
つつがなく働き、再びの旅の日に想いを馳せる。
そんなある日。
俺は仕事終わりの帰宅ラッシュにハマり、スルスルと間を縫ってすり抜けて前へと出る。
「しゃ行くぜぇ!」
そして青信号と同時にスタートダッシュをかました。
一気に前へと躍り出て、仕事のストレスを吹き飛ばす。
「気持ちぃぃ~」
ーーが。
ヴォーーン! ブァンブァンブァンブァン!
通過する交差点の左より、凄まじい爆音が響く!
思わず音の方へと振り返る。
信号を無視し、左よりヘッドライトをギラつかせたバイク達がこちらに走ってきていた。
状況を瞬時に理解。
「やべぇ、やらかした」
最寄りの路地へと逃げ込む。
モタードの軽さにモノを言わせて、狭い路地を曲がっていく。
しかし。
「うぉッ、マジかよ」
ネイキッドも加速力とハードブレーキを駆使し、俺に追いすがる。
プロジェクターヘッドライトの眩い光がミラーに反射する。
アクセルを開けて、前へ前へと進む。
「やべぇ、ただの族じゃねぇ!ありゃガチだ!」
こりゃ路地なんかより、むしろバイパスとか速度が乗ってる方が急ブレーキで撒けるか?
再び大通りへと出る。
幸いにも交通量はまばら。
一気に車線変更し、バイパスへのジャンクションへ合流。
これで撒ければ良いのだが……
一分の希望にすがり、後ろを確認。
「ですよねー」
続々とバイクが連なっていた。
そして今に至る。
「参った、もはや涙が出てきたぞ」
シングル高回転の振動に手が痺れる。
俺が一体何をしたッ!?
ちょっとスタートダッシュしただけじゃねぇか!
走っている車の間を意地と根性で縫っていく。
後ろを一瞥。
ダメだ、がっちり付いてきてやがる……
見たところ全部ミドルクラス。
スペック的には俺のDR-Zと変わらんか。
「ああー!もう!」
ちくしょうちくしょうちくしょう!
沸騰した頭、視界にジャンクションとの分岐が映った。
俺はスロットルを捻りに捻る。
バイク達が至近距離に近付く、、、
そして。
「ッくぅ!」
ジャンクションを前にして急ブレーキ!
「うお!」「っマジか!」「ッ!」
ライダー達が一気に前へと吹っ飛んでいく!
良かった。運良く?俺を見事に避けてくれた。
そのままジャンクションを通り下道へと逃げ込む。
下道への下り坂、雄叫びのようにエキゾーストがバイパスの彼方より聞こえた。
「ーーああぁ! しんどーッ!」
信号待ちに合流、ドッと疲れが押し寄せタンクに寝そべる。
マジ疲れた、いやマジでもう無理。
もうヘトヘト、喉が干からびそうだ。
「とりあえずコンビニ……」
キャンッ!
「あ」
視界が傾く。そしてそのまま地面に。
ガチャンッ!「痛って!」
立ちごけした。
ノロノロとDR-Zを起こし、街路樹の脇に愛車共々座り込む。
「ーーハァ」
走っていく車を眺めて、自分の足元を見る。
小刻みに足が震えていた。
頭が働かない、疲れ果てて木に背中をあずける。
「おつかれさん」
言葉と共に頬に電撃が走る!
「ひょわあぁぁ!」
思わず奇声を上げる。
なに?なに?なに?今度はなにッ?
急いで周りを確認する。
「おぉ~、なんだ元気じゃん」
手にア○エリアスを持って、女性ライダーが立っていた。
「ナイスファイトだったね~」
「ども」
「まさか連中を撒くとわね」
「ええ、まぁ。……見てたんです」
ーーか? 女性ライダーの顔を見て言葉に詰まる。
右頬から首にかけて、色鮮やかなタトゥーが入っていた。
「あ、やっぱ恐い?」
女性ライダーが、そんな顔で無邪気にはにかみ、ア○エリアスを差し出す。
「ビビりました。でも綺麗ですね、もしかして美術家さんですか?」
ありがたくア○エリアスを受け取り、一気に飲み干す。
「芸術家ッ! お兄さん面白すぎ~!」
芸術家の女性ライダーさんが爆笑する。
「私、七瀬。お兄さんは?」
女性ライダー、七瀬さんがクックッと笑いながら俺に名前を尋ねる。
「……鋭助です。ありがとう七瀬さん、とりあえず晩飯食べ行きません?」
もう俺、腹ペコで、、、
ふと、七瀬さんの後ろを見る。
「あ♪ 見つかっちゃた」
七瀬さんが照れ臭そうに、横にずれる。
真っ黒なR1-Zが停まっていた。
「あ、そうだ! この近くに美味しいラーメン屋さん有るんですよ。そこまで競争しませんか!」
七瀬さんが手を叩き、にこやかに提案。
「ーー嫌です」
もうマジ勘弁で。
#TTT2B #ふぃくしょん #(〃´o`)=3
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