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2020年06月04日
51グー!
山の中腹、放置されたドライブイン。
真夜中の山にブォンブォンとエキゾーストが響く。
集まる車もバイクも様々、中央に2人と2台のバイクが陣取り、その周囲をコロセウムのようにライダーやドライバー達が取り囲む。
沸き立つ外野、それとは裏腹に中央の2人は静かに互いを見つめていた。
「あんたが健二さんかい?」
無精ひげの男が健二に尋ねる。
「ああ、そうだ。ウチのベストは持ってきたか?」
「ああーーほらッ!」
健二の言葉を聞いて、これ見よがしに男がベストを掲げる。
「ちゃ~んと持ってきたぜぇ」
9/12が縫われたベストには、しっかりと靴痕が付いていた。
「んだコラッ!」「ぶっ○してやる!」「!!!」
管楽団のメンバーが次々といきり立つ!
「止めろ。モノは確認した」
健二はそれらを制し、眉をひそめて深く息を吐く。
「じゃ今度はそっちの番だ。とりあえず、背中。あんたぁ何番だい?」
「ーー俺は」
男の言葉に健二が背中を見せる。
「2番だ」
2/12の文字が周囲の車のライトに照らされ輝く。
ドッと外野が今まで以上に沸き立つ。
「おいおい、マジか! いきなりナンバー2かよ」「管楽団も大したことねぇの」「こりゃ今日で解散ちゃう!?」
その言葉を受け管楽団は、健二の言葉に従い相手方を睨み付ける。
最早、穴が空こうかという程の怨嗟の眼光だった。
「始めよう」
健二が愛車に火を入れる。ヴォンッと雄叫びをあげてCBR1000RR SC77がギラギラと相手を脅す。
「はんッ! 下品な音だ、本物の管楽器というものを教えたるわ!」
男も愛車に火を入れる。ドュルドュルドュルドュルとbimota DB8がLツインの荒々しい音色を奏でる。
「ゴールはここ。頂上まで上り、展望台をパスして帰ってくる。それで良いな!」
「ああ、それで頼む」
健二はヘルメットのシールドを閉じる。
「行きまーす。5、4、3」
管楽団の1人が両者の前に立ち、高々と手を上げてカウントダウンを読み上げる。
両車がブリッピングの激しいいななきを響かせる!
「2……1……」
現場のボルテージと回転数が最高潮に達する!
「0ッ!」
今勢いよく手が振り下ろされた!
ワ゛ァァァーン! オ゛ォォォーン!
マシンの金切り声、派手に地面を掻きむしって戦いが今、幕を開けた。
まず先行したのはDB8だった。
スペックで見ればDB8は1000ダボに比べ馬力は低い。
ーーだが。
「ここじゃ、こっちが強いのよ!」
健二の前でDB8がヒラヒラと車体を翻す。
峠において必要なのは加速力、トルクだ。
激しく上下する速度を素早く理想の域に到達させる力。
L2の大きいボアによる爆発力、直4では成し得ない力だ。
連続するカーブ、その度にDB8と1000ダボの間が開いていく。
「ハハハ! こっちはドカのパワーとホンダのジオメトリーのハイブリッド! 負けるわけあるかい!」
「………」
健二は静かに先行するDB8と連続していくカーブを睨みついていく。
緩いカーブ、そして300mほどのストレートに差し掛かる。
「ウオォォォ!」
8000まで回しDB8の暴れる車体をねじ伏せていく。
「ゥゥゥ」
健二と1000ダボがジリジリと近付いていく。
両車共に並び頂上までのストレートを上りきる!
そしてキャッツアイの連続するカーブを160キロ越えで共にパス!
「ダアァァァ!」「グゥゥゥ!」
跳ねる愛車を共に意地と気合いでカーブへとねじ込んでいく。
戦いも折り返し。
「ク○! びったり付いてきやがる!」
DB8のミラーをチカチカと1000ダボのライトが眩惑する。
「ボケが! でもそれ以上は回せんやろ!」
キツい下り坂、否が応にも速度が乗る。本来ならば馬力とハンドリングに勝る健二のターン、しかし。
「時間は夜中、そして俺がラインをバッチリ塞いどる! すぐそこにはガードレール、行けるもんなら行ってみぃ!」
先頭をキープし、上りと同じようにカーブを華麗にパスしていく。
回転数はきっかり8000から9000をキープ、完璧だ。男は自らのライディングに自惚れる。
しかしだからと言って慢心はせず、後ろを不気味に付いてくる健二に気を配る。
ーー何かがおかしい。
どこで仕掛けてくる?
次か? またその次か?
と、思案しているうちにキツいスプーンカーブに差し掛かる。
「まぁやれることをヤるだけじゃ!」
タイトブレーキ、そして頭を出口にーー
ヴアァァァァーンッ!
突如、健二の1000ダボが金切り声を上げる!
そして赤い残光を残し、対向車線に飛び出した!
「アッ?」
完全なオーバースピード。見事弾丸もかくやと言う速さでガードレールへと迫り、車体が踊る。
「バカが! 神風特攻とか流行らんわ!」
男はそのままカーブをパスし、スロットルをーー
「はあぁぁぁ!」
男は思わず声を上げる!
目の前、健二と1000ダボが派手にテールを滑らせて目の前に割り込んできた!
まるでモタードのようなパワースライド!
焼けたゴムの匂いがヘルメットごしに男の鼻を刺す。
「ハハハ! やるやんけ!」
お前は頭○字Dでもしとんか!
ましてこんな場所でカマすんかい!
「流石じゃのう!やっぱ雑魚とは違うわ!」
DB8のスロットルを捻り上げる!
より一層にエキゾーストが荒ぶる。
やっぱバイクってのは違うな!
車も良いがバイクとは比べ物にならん。
カーブやストレートの度に脳ミソがアドレナリンに溺れる、視界が真っ赤に染まるほどの興奮!
男のテンションが天井知らずに跳ね上がる。
戦いも後半に差し掛かる。
機械のような正確な健二のブロック。
抜こうにも刺せそうなのは、一か八かの危険なライン。
外せば500万クラスのマシンが一瞬で鉄屑と化す!
「おお!恐ッ!」
改めて健二のク○度胸に感嘆する。
ーーだが。
「もう後がない」
おそらく後3ヶ所! 男は肚を決める。
「行くしかないよな!」
カーブに向けて、乾坤一擲のスロットルガバ開け!
対向車線へと躍り出る。
ジリジリと迫るガードレール、間近に迫る落ち葉、滑り始めるリアタイヤ、DB8の頭が前へーー
「ーーああ無理!」
男はDB8を起こす。目の前の健二との差が大きく開く。
そして。
「っしゃ!」
健二が派手に1000ダボの前輪を跳ね上げゴールへとなだれ込む!
勝負は決した。
待ちかねていた管楽団のメンバーが健二を取り囲む!
「流石は健二さん!」「やベェやベェ」「ここからでも健二さんのテールスライド見えましたよ!」
健二を取り囲んでの狂喜乱舞。
健二はその中央で、静かに空を眺めていた。
「おい!」
DB8の男が健二に声を荒げる。
水をかけたように周囲が一瞬で静まりかえる。
「俺の完敗だ。言い訳は言わん、ほれ、これ返すわ」
そして件の管楽団のベストを差し出した。
健二が静かに男へと歩み寄る。
「ああ」
そしてベストを丁寧に受け取った。
再び管楽団が騒ぎ立てる。
「あんな簡単に返して良かったんですか!?」
男の仲間がベストを見ながら尋ねる。
「じゃお前行ってこいよ」
「……へ?」
「170キロ越えで、あの夜道を走ってこいや」
「……」
「ーーバカが。さぁ帰るぞ! 負け犬は退散退散」
男が仲間を捲し立てる。
けたたましい音を立てて次々とバイクと車が出ていく。
「おーい」
出ていく間際、男は再び健二へと大きく声を飛ばす!
「健二とか言ったか!? また走ろうの! じゃあの!」
健二の返事も待たず、男は出ていく。
ーーヴィンヴィン!
短い低音の調べが2度、ドライブインより奏でられた。
#TTT2B #管楽十二鉄鋼楽団 #(〃´o`)=3 -
2020年05月29日
63グー!
TTT2B
「ガァーッ!く○ッたれがッ!」
俺はヘルメットの中、思いのままに毒づく。
走っても走ってもキリがない!
沸騰しそうな頭、左右に高速で流れていく風景、そしてーー
ブォンブォンブォンブォン!
後方より、幾つものコールが俺を威嚇する。
ミラーを一瞥。
ヘッドライトをパッシングさせ、5台のバイクが俺に世界共通の友好サインを出していた。
なんでこんなことにッ?
決まってる。
「おいッ コラ!てめぇ調子くれて逃げてんじゃねぇぞッ!」
「人の真ん前でカマしおって、逃がすかボケェッ!」
間近に迫ったライダー達が怒号を飛ばす!
……ああ。誰か助けて下さい。
約30分前。
20代も半ばを過ぎた頃。フリーターとして、このまま流されて生きていくのかと人生を悲観してしまい、旅に出ることにした。
相棒はDR-Z400SM。
大学時代に悪い先輩から二束三文で買ったモタード。
働き始めてからは公私共にこき使った過激で楽しい最高のバイク。
九州を周った、中国地方を横断した。
だが、そうこうしている間に貯金も尽きて、また働こうかと思って、この町に住み着いた。
つつがなく働き、再びの旅の日に想いを馳せる。
そんなある日。
俺は仕事終わりの帰宅ラッシュにハマり、スルスルと間を縫ってすり抜けて前へと出る。
「しゃ行くぜぇ!」
そして青信号と同時にスタートダッシュをかました。
一気に前へと躍り出て、仕事のストレスを吹き飛ばす。
「気持ちぃぃ~」
ーーが。
ヴォーーン! ブァンブァンブァンブァン!
通過する交差点の左より、凄まじい爆音が響く!
思わず音の方へと振り返る。
信号を無視し、左よりヘッドライトをギラつかせたバイク達がこちらに走ってきていた。
状況を瞬時に理解。
「やべぇ、やらかした」
最寄りの路地へと逃げ込む。
モタードの軽さにモノを言わせて、狭い路地を曲がっていく。
しかし。
「うぉッ、マジかよ」
ネイキッドも加速力とハードブレーキを駆使し、俺に追いすがる。
プロジェクターヘッドライトの眩い光がミラーに反射する。
アクセルを開けて、前へ前へと進む。
「やべぇ、ただの族じゃねぇ!ありゃガチだ!」
こりゃ路地なんかより、むしろバイパスとか速度が乗ってる方が急ブレーキで撒けるか?
再び大通りへと出る。
幸いにも交通量はまばら。
一気に車線変更し、バイパスへのジャンクションへ合流。
これで撒ければ良いのだが……
一分の希望にすがり、後ろを確認。
「ですよねー」
続々とバイクが連なっていた。
そして今に至る。
「参った、もはや涙が出てきたぞ」
シングル高回転の振動に手が痺れる。
俺が一体何をしたッ!?
ちょっとスタートダッシュしただけじゃねぇか!
走っている車の間を意地と根性で縫っていく。
後ろを一瞥。
ダメだ、がっちり付いてきてやがる……
見たところ全部ミドルクラス。
スペック的には俺のDR-Zと変わらんか。
「ああー!もう!」
ちくしょうちくしょうちくしょう!
沸騰した頭、視界にジャンクションとの分岐が映った。
俺はスロットルを捻りに捻る。
バイク達が至近距離に近付く、、、
そして。
「ッくぅ!」
ジャンクションを前にして急ブレーキ!
「うお!」「っマジか!」「ッ!」
ライダー達が一気に前へと吹っ飛んでいく!
良かった。運良く?俺を見事に避けてくれた。
そのままジャンクションを通り下道へと逃げ込む。
下道への下り坂、雄叫びのようにエキゾーストがバイパスの彼方より聞こえた。
「ーーああぁ! しんどーッ!」
信号待ちに合流、ドッと疲れが押し寄せタンクに寝そべる。
マジ疲れた、いやマジでもう無理。
もうヘトヘト、喉が干からびそうだ。
「とりあえずコンビニ……」
キャンッ!
「あ」
視界が傾く。そしてそのまま地面に。
ガチャンッ!「痛って!」
立ちごけした。
ノロノロとDR-Zを起こし、街路樹の脇に愛車共々座り込む。
「ーーハァ」
走っていく車を眺めて、自分の足元を見る。
小刻みに足が震えていた。
頭が働かない、疲れ果てて木に背中をあずける。
「おつかれさん」
言葉と共に頬に電撃が走る!
「ひょわあぁぁ!」
思わず奇声を上げる。
なに?なに?なに?今度はなにッ?
急いで周りを確認する。
「おぉ~、なんだ元気じゃん」
手にア○エリアスを持って、女性ライダーが立っていた。
「ナイスファイトだったね~」
「ども」
「まさか連中を撒くとわね」
「ええ、まぁ。……見てたんです」
ーーか? 女性ライダーの顔を見て言葉に詰まる。
右頬から首にかけて、色鮮やかなタトゥーが入っていた。
「あ、やっぱ恐い?」
女性ライダーが、そんな顔で無邪気にはにかみ、ア○エリアスを差し出す。
「ビビりました。でも綺麗ですね、もしかして美術家さんですか?」
ありがたくア○エリアスを受け取り、一気に飲み干す。
「芸術家ッ! お兄さん面白すぎ~!」
芸術家の女性ライダーさんが爆笑する。
「私、七瀬。お兄さんは?」
女性ライダー、七瀬さんがクックッと笑いながら俺に名前を尋ねる。
「……鋭助です。ありがとう七瀬さん、とりあえず晩飯食べ行きません?」
もう俺、腹ペコで、、、
ふと、七瀬さんの後ろを見る。
「あ♪ 見つかっちゃた」
七瀬さんが照れ臭そうに、横にずれる。
真っ黒なR1-Zが停まっていた。
「あ、そうだ! この近くに美味しいラーメン屋さん有るんですよ。そこまで競争しませんか!」
七瀬さんが手を叩き、にこやかに提案。
「ーー嫌です」
もうマジ勘弁で。
#TTT2B #ふぃくしょん #(〃´o`)=3
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