カワサキZ400FXの特長と買取相場の傾向
カワサキZ400FXが登場したのは1979年です。当時は1975年の免許区分制度の改正の影響もあり、国内のバイク市場の主流は最大排気量が400ccのものでした。
しかし、当時の400ccのバイクはほとんどが2気筒であり、多くのバイク愛好家たちは4気筒の400ccバイクを待ち望んでいました。そのようななかで現れたのが、400cc4気筒のカワサキZ400FXです。
しかも当時にしては珍しく、DOHCを採用していたこともあり、瞬く間に人気となりました。80年代にバイク人気が盛り上がった背景には中型バイクが多くの人を魅了したことが挙げられますが、その始まりはカワサキZ400FXといっても過言ではありません。
カワサキZ400FXの魅力の一つは、特徴的なフォルムでしょう。直線的で角張っており、硬派で洗練された風格が感じられます。角形のタンクやテールカウルを採用している点も、特徴的なフォルムを作り上げている要素です。
カワサキZ400FXは、見た目だけでなく安全面にも配慮が行き届いています。大きなヘッドライトを採用し、前方を明るく照らせるようにしました。スピードメーターやタコメーターの視認性が高い点もポイントです。
また、フロントフォークにバリアブルピッチのスプリングを内装し、さらにリーディングアクスル式も採用しているため、安定した操作性と走りを実現しています。
セミフラットタイプのハンドルと、クッション性能の高いシートのおかげで、長時間のライディングでも疲れにくいのも魅力です。カワサキZ400FXはマイナーチェンジを行ないながら、1982年まで販売されました。
2024年になっても絶版車として人気があり、買取市場での需要も高く、高価買取も期待できるでしょう。1979年に販売開始された初期モデルの当時の価格は38.5万円でしたが、買取価格の平均は174〜256.6万円(2024年9月6日時点)となっています。
さらに、カワサキZ400FXはすでに生産終了から40年以上経っており、中古市場には状態の良いものが少なくなってきました。そのため、状態があまり良くないものでも、100万円以上の買取価格となる可能性もあるでしょう。
カワサキZ400FXを高く買取ってもらうためのポイント
カワサキZ400FXを高く買取ってもらうためには、次の3つの項目を押さえておきましょう。
型式
カワサキZ400FXにはE1、E2、E3、E4、E4A、E4Bの6つの型式があり、それぞれ特徴と買取相場は異なります。基本的に、新しい型式のものほど、高く買取ってもらえる傾向にあります。
・カワサキZ400FX E1
1979年4月に発売された、カワサキZ400FX最初の型式です。当時の価格は38.5万円でしたが、現在の買取相場は138.9〜193.2万円(2024年9月6日時点)となっています。
・カワサキZ400FX E2
1979年12月に発売された、E1からカラー展開が変更となった型式です。さらに、リアホイールのリム幅や、燃料コックの形状も変更となりました。発売当時の価格は38.5万円でしたが、現在の買取相場は149.1~186.1万円(2024年9月6日時点)です。
・カワサキZ400FX E3
E3はグラフィックを変更して1980年10月に登場しました。また、ヘルメットホルダーが付き、サイドリフレクターは廃止されました。当時の価格は40.5万円でしたが、現在の買取相場は190.2〜209.4万円(2024年9月6日時点)です。
・カワサキZ400FX E4
1981年8月に発売されたE4は、前後のブレーキが刷新され、さらにエア加圧式セミエアフォークやチューブレスホイールなどが採用されました。当時の価格は43.5万円でしたが、現在の買取相場は193.2~239.4万円(2024年9月6日時点)です。
・カワサキZ400FX E4A
1981年12月にE4をベースとし、「グランプリスペシャル」の名で発売されたのがE4Aです。500台限定で発売され、テールカウルに「FX−LIMITED」と刻印されています。
シリンダーとフロントフォークが赤色、タンクキャップとアジャスターが黒色で塗装されているのが特徴です。当時の価格は47万円でしたが、現在の買取相場は220.4万円(2024年9月6日時点)程度です。
・カワサキZ400FX E4B
カワサキZ400FXシリーズはE4Aで販売終了となりましたが、ファンからの要望もあり、1982年12月にE4Bとして再生産されました。E4とはグラフィックとサイドカバーのエンブレムが異なります。
当時の価格は43.5万円でしたが、買取相場はE4Aと同等の220.4万円(2024年9月6日時点)程度でしょう。
以上のように、カワサキZ400FXはどの型式の場合も、買取相場が高めとなっています。そのなかでも特にE4AとE4Bは旧車コレクターからの需要が高く、買取価格も高くなる傾向にあり、E4Aの買取価格が325万円となった実例もあるほどです。
実働車
一般的に、故障車や事故車、不動車などすぐには走行できないバイクよりも、実働車のほうが高価買取が期待できます。カワサキZ400FXの場合も例外ではなく、過去1年間の実働車の買取相場が151.0~197.3万円(2024年9月6日時点)程度に対し、不動車は56.5~92.9万円(2024年9月6日時点)程度となっています。
ただし、カワサキZ400FXは人気が高く、長年放置されていたような車体でも当時の新車価格よりも高値で買取りされる可能性もあるでしょう。
純正バイク
一般的に、カスタムバイクよりも純正バイクのほうが買取相場は高くなります。カワサキZ400FXの場合も、状態が良ければ純正パーツのみの車体のほうが、買取価格は10~20万円程度高くなるでしょう。
ただし、カワサキZ400FXは、カスタムしてあっても状態が良ければ高価買取が期待できます。実際に、リペイントを施し、社外ヘッドライトやハンドルなどを装着してカスタムされたE4が、180万円で買取された事例もあります。