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空冷エンジン大特集〜その造形とフィーリングを楽しむ〜

空冷、水冷、油冷と、エンジンで発生した熱を冷やすために、
これまで様々な方式が用いられてきた。
今回はその中でも古典的ながら、
とりわけ人気の高い空冷エンジン搭載車について、
その魅力を探ってみよう。

Text/Ryo Tsuchiyama Photo/Takashi Akamatsu,GooBike

空冷エンジン大特集〜その造形とフィーリングを楽しむ〜

空冷エンジンとは

 エンジンという機械は、ガソリンを燃焼させて動力を取り出す代わりに『熱』を発生する。エンジンがその性能を正しく発揮するためには、発生した熱をどうやって冷やすかが重要となる。19世紀の終わりに登場したバイクは、加速度的に進化し高性能化を実現してきた。しかし、その裏には『熱』との戦いが常に繰り広げられてきたのだ。

 現在主流となっているエンジンの冷却方式は水冷。これは文字通り水(冷却水)を使って冷やす方式だ。水冷エンジンでは、エンジン内部に冷却水を通すウォータージャケットと呼ばれる通路を持ち、エンジンで発生した熱を冷却水が吸収する。こうして熱せられた冷却水はラジエーターへ運ばれ、走行風によって冷やされる。そしてまたエンジン内部へ……このプロセスを繰り返している。

 一方、空冷エンジンでエンジンを冷やす方法は、走行風による冷却のみ。つまりバイクが走っていなければエンジンは冷えないのだ。積極的にエンジンを冷やす水冷方式と比較すると、明らかに冷却効率では分が悪い。ところが、世の中には冷却性能で勝る水冷エンジンよりも、空冷エンジンを好むライダーも相当数存在する。

 その最大の理由はエンジンのルックスと言っても良いかもしれない。空冷エンジンでは、冷却効率を高めるためにフィンが装着されている。これはシリンダー部分の表面積を増やし、効率よく熱を逃がすために設けられている機能部品だ。しかし、空冷ファンの多くは、この冷却フィンが作り出す独特の外観に魅せらていると言っても良い。

空冷エンジン

各種規制との戦い

 長らく二輪市場を賑わせてきた空冷エンジンだが、年々搭載車種は減り続けている。その大きな理由が排気ガスや騒音など各種規制だ。この20年ほどでも数回の規制が実施されているが、空冷エンジンはその度に車種を減らしてきている。空冷には厳しい時代だ。

 まず排気ガス規制で不利な理由。冷却を走行風に頼る空冷では、混合気の燃焼温度や排気ガス温度を一定に保つことが難しいため、年々厳しくなる排気ガスの基準に合わせるには、膨大な開発費用がかかることになるからだ。次に騒音規制について考える。水冷ではウォータージャケットがあるために内部の騒音(メカノイズ)は外に漏れにくい。しかし、そうした音の干渉物を持たない空冷では、メカノイズを外部へ伝えやすい。

 こうした理由から空冷エンジンモデルは年々姿を消している。逆に言えば、いま販売されている空冷モデルは、各メーカーの技術者たちが相当な努力をして産み出してきたモデルともいえるのだ。

インジェクター インジケーター キャタライザー
キャブレーターに変わる燃料供給装置がインジェクター。FIとはFuelInjectionのことで、燃料ポンプから供給されたガソリンを、高圧で吸気管内へ噴射する装置なのだ。もちろん電子制御である。 実は、インジェクション車では、メーターパネル内にインジェクションシステムのインジケーターが装備されている。写真のCB1100ではNランプの上部にある機械のようなイラストがそれに当たる。 排気ガスをクリーンにするため、マフラー内にキャタライザーと呼ばれる三元触媒を装着する。とはいえ、空冷ファンはシンプルな外観を好む事が多いため、メーカーも苦労して開発しているようだ。

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