色々書きすぎましたの投稿検索結果合計:1枚
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2020年06月04日
45グー!
TTT2B
某県某整備工場
「助けて下さい健二さん!」
情けない声と共に男が1人、工場に壊れたバイクを引きずりやって来た。
「どうした康、 コケたか?」
健二はジャッキアップしていた車から視線を移し尋ねる。
男、康のバイクは大型のSS。
両方が無惨にも傷だらけになっていた。
「まあ座れよ」
健二に促され康が近くにあったパイプ椅子に腰かける。
ボロボロのバイクをドーリーに載せ奥へと運ぶ。
外装は左右共にグシャグシャ、ハンドルはひん曲がり、そしてクラッチカバーは割れてオイル漏れ。
ガソリンが漏れてないことが奇跡なくらいだった。
オーバースピードでの派手な外装慣らし、大方バトルに負けたのだろう。
「これあと頼む」
近くの後輩に車を託し、康のもとへと向かう。
「でどうした?」
「………」
「負けたんだろ?」
「……はい」
やっぱりな。健二の予想は当たった。
「峠流してたんですが、後ろから煽られましてね」
「なるほど。相手はバイクか?」
健二の問いに康が首を横に振る。
「車です。で本気になって突き放そうとしたんですが……べらぼうに速くてダメで」
「車種は?」
「セブンです。RX-7のFD、マルボロカラー。たぶんロケバニのーー」
「で?」
健二は康の言葉を遮り問う。
ーー俺にそれを聞いてどうしろと?
視線で康に尋ねる。康は一度、目を伏せ、そして意を決して口を開く。
「俺の代わりに走ってもらえませんか?」
「帰れ」
健二は冷たく良い放つ。
「お前の不始末だろ? 手前でやれろ」
健二は言ってボロボロのバイクを見る。
「綺麗にとは言わんが、走れるようにはしてやる」
「………」
「お前も管楽団だろ? ガキの喧嘩じゃ無いんだ。しっかりしろよ」
健二がコーヒーを淹れ、康に差し出す。
「まぁ1週間もすれば直せるだろう。金はお前のその怪我に免じて言わんわ。自分の体治しな、病院行ってないんだろ?」
健二は優しく康に語りかけ、車へと戻ろうとする。
「ダメなんです」
しかし康はそれを否定した。
健二は顔をしかめて康へと視線を戻す。
「おいおい、お前の……」
そこで健二はあることに気付く。
「おい康」
健二の言葉に康が体を強張らせる。
「お前、管楽団(うち)のベストどこやった?」
康は着ているジャケットにソレは無かった。
「………」
「おい答えろ」
「奪われました」
康が消え入るような声で答える。
「なにやってんだよぉ」
健二は託していた仕事を完全に後輩に任せて康の話を聞くことにした。
「で? お前はオメオメと負けた上にウチのベストまで奪われたと」
「はい」
「それで、恥を偲んで取り返して欲しくて俺に泣きついたと」
「はい」
康が縮こまる。
「ハァ~」
健二は大きな溜め息をつく。
「健二さんの車を出してもらえませんか?」
「勘弁しろよ。俺の愛車、ジムニーやぞ」
ジムニーで、恐らくフルチューンであろうFDに勝てって?
健二の言葉に康は目を伏せる。
「……」
しかし、どうする?
ベストを奪われたとなるとチンタラしてられない。
かといって武恒には頼めないし……
いや頼むしかないのか?
いやう~む。
「健二さんのバイク出してやれば良いじゃないスか」
車を任せていた後輩が助言を飛ばす。
「ふざけんな。こんなことで俺の1000ダボ出せるかよ、それこそ……」
それこそ……。
「社長頼みますよ。そんな話せんと、はよ仕事してもらわんと会社潰れますよぉ?」
「っぷ!」
後輩の言葉に、奥で旋盤を弄っていた後輩2号が吹き出す。
「ーー分かった」
健二の言葉に康の顔が緩む。
「おい康」
「は、はい!」
康は緩んでいた顔を引き締める。
「お前、俺が1000ダボ出すが良いんだな?」
「? は、はい。お願いします
」
康はオズオズと頷く。
「ーー分かった。」
健二は苦虫を噛み潰したように、もう一度その言葉を出した。
「康、向こうと渡りを着けろ」
「は、はい!ありがとうございます」
康は深々と頭を下げる。そしてスマホを取り出して話し始める。
「あの、向こうもバイク出すって言ってます」
「ありがとうとでも言っとけ」
「で、お前、、、じゃなかった。健二さんの管楽団でのナンバーを教えろって……」
「今は言えん。当日待ってろって伝えろ」
「は、はい。分かりました……」
康が頷き、時たまに憤る。
ややあってスマホでの会話が終了する。
「明日の夜だそうです」
「おう」
「時間は23時、場所は俺が負けた峠でーーその」
康が口ごもる。
「しっかりベストを着てこいと……」
「分かった。じゃお前もう帰れ、俺は仕事に戻る」
健二が踵を返して仕事へと戻る。
「ありがとうございます!」
康はそれを見送り、何度も頭を下げた。
「なんか口出ししてすいません」
後輩は横でミッションを降ろす健二に謝罪を述べる。
「あぁ、ん。まぁしょうがねぇよ」
健二は視線を動かず答える。
「俺、管楽団入ってませんけど。なんか、あの兄ちゃんが可哀想に見えちゃって」
「お前は優しいなぁ」ッと!
健二が降ろしたミッションをキャスターにゆっくりと載せる。
「いやいや、健二さんほどじゃないですよ」
「お前、管楽団に入らないか?」
「え? う~ん。止めときます」
後輩はしばし悩み答えた。
「そうか。じゃとりあえず休憩にするか!お~い、休憩~!」
健二は作業着を脱いで、台の上の財布より数枚の紙幣を取り出す。
「すまんけどアイスでも買うて来てくれ」
そして後輩に紙幣を手渡した。
「了解です。お~い、買い物行くぞ~」
「やった! ハーゲン○ッツ買ぉぅ」
「俺はレ○ィボーデン!」
後輩達が顔をホクホクさせコンビニへと出ていく。
「……」
健二はそれを見届け、康のボロボロになったバイクへと視線を移す。
頭に浮かぶのはソレを元気に駆る康の姿。
昔日の仲間内でのツーリング、都合12人での血液が沸騰するような楽しいーー楽しかった思い出。
バイクに近付き、そっと凹んだタンクを撫でる。
「心配すんな。また走れるようにはしてやるよ」
やるしかないな。
健二はそう思い、壁に掛けていた自分のベストを見る。
管楽十二鉄鋼楽団、螺旋状に描かれた十二の管楽器、そして2/12の数字が然りと縫い込まれていた。
「え~っと管楽十二鉄鋼楽団は~」
俺はバイク板などを見て、それについて調べる。
通称、管楽団。12人からなる某県を拠点に走り回る過激派のバイクチーム。主に高回転、高い速度域でのライディングを目的としており、それを妨げる場合には一般人であろうと容赦せず排除しようとするーー
「恐ッ!」
俺は思わず声を漏らす。思ったよりもヤバい集団だった。
俺やDR-Zが無事に帰れたのはマジ幸運だったんだなぁ~。
「ん? どうした鋭助。サボるのは良いが、ちゃんと仕事しろよ」
傍らの先輩、幹孝さんがそんな俺を見かねて、声をかける。
「いや、ちょっと。この前絡まれた奴らについて調べてまして」
「いや、そういうのは休憩中にしろよ……」
幹孝さんがひきつった笑いを浮かべ、俺のスマホを見てくる。
「え~、なになに? はぇ~、まだこんなん居るんだねぇ」
「はい。俺もビックリしました」
「俺の代でも、居たけど……元気な奴らって変わんないね~」
「幹孝さんも昔、バイク乗ってらしたんですっけ?」
「うん。もう何十年も前、昔やってたバンドの仲間達とね。懐かしいな~」
幹孝さんが遠くを眺めるように目を細める。
「って、違う違う。なに? 鋭助そのチーム入んの?」
「んな訳ありませんよ。ただ、ちょっと気になっただけです」
俺はスマホをポケットへと戻し、目の前のデスクワークへと戻る。
「すいません。サボったぶん頑張りま~す」
俺はカタカタとキーボードを打つ。
「まぁ気を付けてね。なんか有ったら言うんだよ」
幹孝さんも仕事へと戻る。
俺はふと、思いだしスマホを取り出し文字を入力する。
ーーいや、また今度にしよう。
今は仕事だ仕事仕事!
俺はスマホを机の隅に伏せて仕事へと戻る。
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伏せたスマホに文字が映る。
疾四踏会。管楽団と同じように某県を拠点に走り回るバイクチーム。主に長距離を走破することを目的としており、記録を見るに日に500キロを走ることも珍しくない。人数などは不明、一説によると管楽団に所属していたライダー達が脱退し新たに作られたチームとのこと。それとの関連性は不明であるが、メンバーの多くが管楽団を強く憎んでいる。
⚠️長かったんで一旦切りま~す(´ε`;)ゞ
#TTT2B #色々書きすぎました #管楽十二鉄鋼楽団 #疾四踏会
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