サボってすいませんの投稿検索結果合計:1枚
「サボってすいません」の投稿は1枚あります。
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サボってすいませんの投稿一覧
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2020年07月03日
41グー!
TTT2B
最初は殴られたのかと思った。
頭を押さえキツく目を閉じた状態で、体の痛みを確認する。
「……?」
どこも痛くない。
ゆっくりと頭を上げて目を開く。
七瀬さんや店内の全員が身を屈めて、店の外に向けて鋭い視線を向けていた。
「あの……」
「ーー」
七瀬さんが口に人差し指を当て、俺に身を屈めるように促す。
「ギャハハハ!」
外より下卑た笑いが木霊する。
七瀬さんが熊のような男に目配せ、男が店内のメンバーにハンドサインを飛ばす。
3人ほどライダーが頷き、店の外へと飛び出していく!
そしてドドンッと幾つかのイグニッションが鳴った。
「ヤッベ来たぞ!」「逃げろ逃げろ!」
まるで子供のような黄色い声、そして数台になるであろうマシン達の加速音が外に響いた。
次第に音が遠のいていく……
「ごめんね」
七瀬さんが呟き、俺に頭を下げる。
「え? あ、いや……どうですかね」
俺も頭を下げた。
下げた頭で、横目に店内を見る。
ざわつく店内、その床に何かが落ちていた。
「スタングレネードだな」
あの熊のような男がそれを拾い上げる。
「恐ぇなぁ~。スマンね、店長~て、くっさ! 」
男がタオルにそれを包み外へと出ていく。
そして何人かのメンバーが席を立ち、散らかった店内の片付けを始めた。
「あの、鋭助君」
七瀬さんの言葉に我に帰る。
「さっきの話なんだけど……」
「ーーあ」
現実に戻される。
そうだ! 俺は疾四踏会への勧誘を受けてたんだった。
まずい、思いっきり断ったし。
さっきのゴタゴタに紛れて逃げればよかった、、、
「いきなり言われても分かんなかったよね」
七瀬さんはそう言って立ち上がる。
「とりあえず今日は帰ろうか。駅まで送るよ」
七瀬さんが入口へと歩いていく。
「お疲れっす姉さん」「お疲れ」
「あのバカどもすぐ絞めますんで」「うん」
「またお願いします」「頑張りや」
メンバー達が七瀬さんに頭を下げる、それに七瀬さんが答える。
俺もオドオドしながら後に付いていく。
「ども、お疲れ様ですお疲れ様ですお疲れ様です」
ペコペコと忙しく頭を下げる。
「どもッス」「どもッス」「どもッス」
太い声が返ってきた。
店を出る。
「おう、もう帰るんか?」
あの熊のような男が声をかけてくる。
見れば駐車場の一角、軍手で件のグレネードをバラしている様子だった。
「送ってくる。あと頼める?」
「姫に言われたら断れんわ。了解、あと鋭助君」
「ッ!」
いきなり名前を呼ばれ心臓が大きく一打、冷たい汗が吹き出す。
「今日はスマンかったね。これに懲りず、また来ぃや」
「……あ、はい。どうも」
目も合わせず曖昧に返事。
「じゃ行ってくる」
七瀬さんがZ32に乗り込む。
俺も倣って助手席に乗り込む。
ゆっくりと駐車場から出て店を後にする。
街灯が照らす夜の国道を走っていく。
すっかり夜も更けてしまった。
昨日の今頃はもう寝てたなぁ。
あぁ、明日の仕事行きたくねぇなぁ~。なんて考えていたら。
「──?」
ふと車内に流れていたパンクロックが小さくなった。
「今日はごめんね」
七瀬さんが再び俺に謝った。
「いきなり変な場所に連れていかれて、しかも変なチームに勧誘されて」
七瀬さんが前を見たまま喋る。
「挙げ句にトラブルに巻き込まれて、迷惑だったよね」
信号待ちで停車、赤信号の光が周囲を照らす。
「今さら言い訳なんてしない。本当にごめんなさい」
「………」
「………」
「あの」「えっと」
「「あっ」」
出そうとした言葉が重なる。
「あ、七瀬さんからどうぞ」
「あ、いや、鋭助君から」
じゃあ……
プァッ! 後ろからクラクションが鳴らされる。
見ればいつの間にか青信号に変わっていた。
急いで出発する。
「ちょっとスーパー寄って貰って良いですか?」
「え? あ、うん。分かった」
七瀬さんが頷き、少し走ってから最寄りのスーパーへと入る。
「ちょっと待ってて貰っていいですか?」
俺はそう言ってスーパーへと急ぐ。
そして目当ての物を買い、急いで七瀬さんの車へと戻る。
「お待たせしました」
俺は買ってきた物を七瀬さんに差し出す。
「……アイス?」
「はい。店でデザート食べてなかったんで、、、あ、抹茶とクッキー&クリームどっちが良いです?」
「……じゃクッキー&クリームで」
七瀬さんがオズオズとアイスを受け取る。
しばしの間、パンクロックをBGMに2人アイスを食べる。
「これなんてバンドのヤツです?」「これは○○ってとこで~」「△△って曲で~」
喋りながら抹茶アイスを半分ほど平らげる。
遠くよりサイレンが鳴る、そして目の前の国道を消防車が通っていった。
「火事ですかね」「分かんない、でもおっかないね~」
ふと会話が途切れる。
「七瀬さん」
俺は七瀬さんに改めて向き直る。
「さっきの話なんですけど──」
七瀬さんの体が強張る。
「やっぱ俺、疾四踏会には入れません」
「疾四踏会に入るのが嫌って訳じゃ無いんです、どっちかと言えばチームとか憧れてたんですよ。で、管楽団も正直言えば嫌いです、追いかけ回されたし。でも、、、その」
「良いよ。続けて」
七瀬さんがアイススプーンを俺に向ける。
「嫌なんですよ、なんか縛られてバイク乗るの。上下とか面子とか、そういったのが嫌でこっち(バイク)の世界逃げてんのに、俺ガキなんです、純粋に楽しみたいんですよね」
七瀬さんは黙って俺の言葉を聞く。
「疾四踏会と管楽団の間に因縁が有るのは察します。それについて俺は何も言いません、てか言えません。でも嬉しかったです。俺の腕を見込んで声を掛けてくれてありがとうございました」
俺は深々と七瀬さんに頭を下げる。
「……そっか」
七瀬さんは短くそれだけ言った。
「あぁ、振られたか~」
七瀬さんがカチカチとスプーンを噛み、大袈裟におちゃらける。
「すいません」
「うんうん、私もごめんね」
七瀬さんから空の容器を受け取りゴミ箱に捨ててくる。
「遅くまで付き合わせちゃってホント悪いね」
「いえいえ! ハンバーグ美味しかったですよ。また行きましょう」
俺がそう言うと。
「……うん。行こう」
少しだけ七瀬さんは笑った。
車が駅に向けて発進する。
「ん? なんか混んでますね」
がしかし、すぐに渋滞にハマってしまった。
目の前が連なるブレーキランプの光に赤く照らされている。
「どうしたんだろ? 事故かな」
七瀬がハンドルに手を置き頬杖をつく。
ちっとも前に進まない。
「ここでお別れにしましょうか?」
「え? でも……」
「ほら、全然前に進みませんし。ここで断った俺と喋るより、七瀬さんも早く仲間の元に帰ってあげて下さい」
俺はそう言って、前後を確認し外へと降りる。
「じゃすいません。今日はホントありがとうございました」
優しくドアを閉じる。
「あの鋭助君!」
七瀬さんが俺を呼ぶ
「また走ろうね!」
「ーーっはい!」
七瀬さんに手を振って答えた。
一通り手を振ってから踵を返す。
やや強引に話を切った感じにしまった。
「いや、もうあれ以上無理だって」
1人ぶつぶつ言いながら駅へと歩いていく。
しかし前が明るい。まるで昼間のように駅前が照らされていた。
駅で工事でもしてんのか?
……いや工事してたか──などと考えていたら。
ウ゛~ウ゛~
耳に突き刺さるようなサイレンが鳴る。
そしてビル郡の間を通り、駅へと到着する。
「────」
駅が炎上していた。
あ、どうも(^^;
②に続きまーす(´ー`)
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