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2020年06月19日
50グー!
TTT2B
仕事終わり、DR-Zで帰っているとスマホが鳴った。
画面を確認。七瀬さんだった。
とりあえず近くのコンビニの駐車場に入り電話に出る。
「もしもし鋭助ですけど」
「あ、出た出た。もしもし鋭助君、今暇?」
「あ、いやぁ。今仕事終わって帰ってたンすけど」
「そうなの? じゃあさ、今からご飯食べに行こうよ」
「……あぁ」
返答に困る。別に七瀬さんと飯を食うのが嫌なわけではない。ちょっと今日はいつも以上に疲れていた。
「もしかして今日キツい?」
俺の様子を察して七瀬さんが心配そうに尋ねる。
「……ちょっと」
俺は電話越しにペコペコと頭を下げる。
「ん~、そっかぁ……」
「すいません」
心が痛む。
「分かった、じゃあ」
「ですね。またーー」今度で……
「私が車出すから、それで食べに行こう」
「ーーあ、はい。それでお願いします」
勢いに押されて頷いてしまった。
「じゃあ、30分後くらいに駅前に迎えいくよ。またね」
七瀬さんが言うだけ言って電話を切る。
「…………」
俺は付いていけずに固まってしまった。
「とりあえず駅に行くか」
ヘルメットを被り直して、駅前の駐輪場に向かうことにする。
駅までは数キロ、着いてからモンエナかコーヒーでも飲もう。
信号待ちでぼんやりと暮れる空を眺める。
「七瀬さん車持ってたんだなぁ」
金持ちだ。俺なんてもう何年も乗ってないよ。
信号が青になったので前の車に倣って発進。
そういや、このDR-Zの元オーナーの先輩も、車を買うためにコイツを俺に売ったんだよな。
「あぁ、俺もいつか……」
スピードを上げていく。
ーーバイクを降りる時が。
「ってまずいまずい」
気付けば駅に到着しようとしていた。
バイクから降りて、手押しで駐輪場に向かう。
「そういえば七瀬さん、どんな車に乗ってくるんだろう」
軽? 日本車? 外車?
バイクがR1-Zだし……
ブォブォブォ!キャキャキャキャ!
派手なブリップとスキール音を立て、1台の車が駅のロータリーへ入ってくる!
「うわ、うるさいなぁ~」
一体誰だよ、またアレか? 菅楽団か?
「恐いなぁ」
駐輪場にDR-Zを停め、とりあえず駅のコンビニに向かう。
「あ! お~い鋭助くーん!」
件の車の窓が開き、何を思ったか俺の名を大声で呼ぶ!
……まさか。
恐る恐る車を方を見る。
「お~い! コラ、無視すんな!」
顔に入った鮮やかなタトゥー、その顔をニヤけさせ、こちらに手を振るドライバー。
七瀬さんだった。
「……あ、どうも。七瀬さんお疲れ様です」
俺は再びペコペコと頭を下げた。
「いやぁ派手な車乗られてますね!」
車の助手席に座り、俺は唸るタービンとE/G音に負けながら喋る。
「うん? うん、そう! カッコいいでしょ!」
七瀬さんがシフトを上げる。
ジェット機のような加速に体がシートに押し付けられる!
「フェアレディZですか?」
「うん、Z32!」
クォォォォ! パシュン!
車検とか諸々が吹っ飛ぶような派手な音に耳が痛くなった。
深いバケットシートで前がよく見えないので、横の流れる風景を見る。
ものすごい速さで風景が流れていた。
「今日はどこ行くんですか?」
「友達のやってるレストランに行くよ。あぁ大丈夫、明日に影響しないようにするから」
「あ、はい」
しばしの間、Z32の雄叫びと社内に流れるパンクロックに聞き入る。
しかしスゴいなぁ、確かZ32と言えばもう何十年前の車だったはず。
それをこんな元気に維持してるなんて……
「やっべぇ」
「ん? もしかして酔った?」
「いえ! 良い車だなぁと思っただけです」
「アハハ! ありがとう」
七瀬さんが速度を緩め、駐車場へと入る。
「着いたよ」
七瀬さんがE/Gを切り車から降りる。
俺も車から降りる。
ふと見れば、駐車場の殆どが車やバイクで埋まっていた。
人気店なのだろうか?
「ここはハンバーグが美味しいんだよ」
「へぇ~。そりゃ楽しみですね」
期待を膨らませて店へと入る。
「いらっしゃいませ~」
間接証明のムーディーな店内、そして食欲をそそる美味そうな香り。
愛想の良い店員に促されてテーブルに座る。
「お洒落ですね」
「でしょ!私もお気に入りなんだよね」
メニューを広げる。
肉汁の溢れる美味しそうなハンバーグやサイドメニューが載っていた。
なるほど、確かにこれは美味そうだ。
「決まった?」
「はい。俺はハンバーグとーー」
「じゃ私はクラブハウスサンドとーー」
店員を呼び2人の注文を伝える。
しばらくして。
湯気を昇らせるハンバーグとクラブハウスサンドが運ばれてきた。
パチパチと油が跳ねるハンバーグを前に口によだれで溢れる。
「さぁ食べちゃおう! いただきまーす」
「いただきます。て熱ッ!」
口を火傷させながらハンバーグを子供のように頬張る。
こりゃ美味い!溢れる肉汁と粗挽きの肉やべぇ! 写真からも味は予想してたが、それ以上だ!
でも、ハンバーグに劣らずソースも美味い。さっぱりとした酸味と仄かな苦味で口が驚くほどにサッパリとする。
「どう? 鋭助君美味しい?」
クラブハウスサンドを食む七瀬の問いに、俺は笑みを浮かべ頷く。
「めっちゃ美味いです。今まで食ってきた中で1番っすわ」
言い終わり再びハンバーグを口に運ぶ。
「そっかそっか♪ 良かったよ」
七瀬さんが柔和に笑う。
そして。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまです」
あっという間に平らげてしまった。
「いやぁ、マジ美味しかったです。すっかり疲れが吹っ飛びましたよ」
「そう? 良かった~」
七瀬さんはそう言うと、バックから煙草を取り出し……
「あっ」
七瀬さんがバツが悪そうに俺を見る。
「ああ、どうぞどうぞ。俺に構わず」
俺はテーブルの灰皿を七瀬さんの前に置く。
「じゃ失礼しまして」
七瀬さんは静かに煙草を吸い、そして俺に当たらないように煙を吐く。
ふと窓の外を見る、ビルの液晶時計は22時を回ろうとしていた。
いやぁ美味しかったなぁ~。今日はグッスリ眠れそうだ。
「ーーん?」
そこで、俺はある異変に気付く。
窓から見える駐車場のバイクと車、それらに見覚えがあった。
満腹でトロくなった頭で思い出す。
あれは確か……そうだ!
いつぞやのラーメン屋で見かけたバイク達だ!
俺の背中に冷たいものが伝う。
いや、でも俺何をしてないし……
そんな焦る必要は……
などと考えていたら。
ブォンブォンブォンブォン!
続々とバイクや車が駐車場に入ってきた。
そして暗くて見にくいが、ライダー達は同じチームのジャケットを羽織っているのが確認出来た。
チラッと店内を見る。
「……あ」
気付けば店の所々に同じ服装のライダーが座っていた。
「……七瀬さん」
俺は煙草を吹かす七瀬さんに、顔を近づけてヒソヒソと喋る。
「なんかちょっとヤバそうーー」
七瀬さんは窓の外を眺めている。
「なんですけど……」
七瀬さんは未だ窓の外を眺めている。
「あの……」
「鋭助君」
七瀬さんが煙草を消し俺の名を呼ぶ。
「単刀直入に言うね」
七瀬さんはそう言うと立ち上がって。
「鋭助君、疾四踏会(うち)に入ってさ」
壁に掛けてあったジャケットを手に取って。
「菅楽団(あいつら)と戦わない?」
俺に見えるように、ソレをテーブルの上に置いた。
置かれたソレを見る。
疾四踏会
その文字と共に、月に吼えるが如く天を仰ぐ四つ首の狼がそのジャケットには描かれていた。
「………ああ」
なるほど、そういうことですか。
俺はテーブルから静かに足をーー
「兄ちゃん」
後ろのしかも間近から声をかけられる。
「せっかく姉さんが誘ってくれとんじゃ。しっかり返事せぇ」
見れば熊のような男が、しっかりと俺の椅子を押さえていた。
「アハハハハ……」
「ゴメンね鋭助君」
七瀬さんが申し訳なさそうに喋る。
ーーなるほど。
「全ては茶番」
「全部全部、仕組んでたってことですか」
ここにきて、ようやく全てを理解する。
「ゴメンね」
再び七瀬さんが申し訳なさそうに俺に視線を送る、、、が。
その瞳は鷹の目のように俺を見据えていた。
俺は目の前の疾四踏会のジャケットを見る。
そして重たく固まった口を動かす。
「俺はーー」
七瀬さんの視線が俺に刺さる。
「疾四踏会には入りませんよ」
その瞬間、俺の視界は火花に包まれた。
#TTT2B #疾四踏会 #(´ρ`)
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