欧州発アドベンチャーモデル
最強ラインナップ―開拓者たち―
アドベンチャーモデルは、遡ると欧州では'80年代から確立したジャンルだ。日本の二輪免許制度と異なる環境もあり、大型モデルに対するライダーへの趣味嗜好が欧州と日本とで、その浸透速度が大きく異なっていた。つまり、日本では「ビッグオフロード」というジャンルに含まれていた間に、欧州ではこのジャンルが確立し、進化していったのだ。ここでは開拓者であり、いまもジャンルをけん引するモデルを紹介していく。
話題の新型ミドル遂に発売 GSの個性が凝縮の注目株
11月発売。昨年のミラノショー発表。ともに853ccの並列2気筒エンジンを搭載し完全新設計。エンジン出力や足回りの装備などに違いがあるが、ETC2.0が標準装備。「レイン」と「ロード」の走行モードに加え「スタンダード」と「プレミアムライン」には、走行状況に応じて「ダイナミック」と「エンデューロ」の2つのドライビング・モードを、新型BMW F850GSには「Enduro Pro」モードを採用。共にABSおよびASC(オートマチック・スタビリティ・コントロール)が装備されている。
BMW Motorrad F750GS
新車価格 ●129万6000円
BMW Motorrad F850GS
新車価格 ●154万1000円
すべての嗜好に応え進化したユーティリティモデル
アドベンチャーモデルの代表格といえばBMW R1200GSを中心とするGSシリーズが、トライアンフではタイガーシリーズとなる。最近ではその特徴も変遷し、乗り手の嗜好にあったモデルがラインナップされている。最新モデルでは、あらゆるシーンで走行性能を高い次元で維持するための電子制御システムの搭載が基本となり、両シリーズとも複数の走行モードが選択でき路面環境に合わせ最適なパフォーマンスを発揮。電子制御システムの影響範囲が近年格段に大きくなっているのだ。GSシリーズは、走破性における標準装備・機能が充実しており、タイガーシリーズでは、ツーリング志向とオフ志向によりグレードや装備が異なっている。
王者の風格すら醸し出す圧倒的存在感
BMW GSシリーズの最新ラインナップ
BMW Motorrad
R1200GS/Rallye/Adventure
BMW Motorrad、及びジャンルの代表的モデル。'80 年登場の R80G/S から熟成を重ね、現行モデルは'14年より。5種のライディングモードを搭載しABS、ASC、ダイナミックESA(電子制御サスペンション)が各モードで最適設定へと自動調整。どんな場面でもライダーの走りをサポートする「キング・オブ・アドベンチャー」だ。
新車価格 ●R1200GS: 243万500円
中古相場価格 ●R1200GS: 78.84万円~258万円
本格アドベンチャー入門にお薦め
狙い目GS中古車!
BMW Motorrad F800GS
やはりトップエンドモデルを、といいたいが、価格、車格、車重から逆に乗り手を選んでしまう機種でもある。そのうえで、注目はF800GS。新型の登場で購入しやすい価格帯となり本格アドベンチャー走行も味わえる。
中古相場価格 ●68.4万円~142.1万円
排気量別や個性で選べる欧州で熟成のミドルクラス
TRIUMPH
TIGER 800 XCx/XCA
TIGER 800 XR/XRx/XRT
200箇所以上の改良を加え'18年にモデルチェンジし最大11kgの軽量化のタイガー800シリーズ。XCシリーズはオフ、XRシリーズはオンロード志向が強い装備に。最大6種のライディングモードなどグレードにより異なる。エンジンは9,500回転で95PS、最大トルクは8,050回転で79Nmを発揮。
新車価格 ●XRX:161万4600円
中古相場価格 ●XRX:88.71万円~134.71万円
孤高の存在、ジャンルを支える百獣の王
TRIUMPH
TIGER1200XCA/TIGER1200XRT
'18年に100箇所以上を改良しフルモデルチェンジした新型タイガーの最上位シリーズ。XRTはオンロード、XCAはオフロード性能が向上している。旧モデルから10kg軽量化が図られエンジンは9,350回転で141PSを発揮。最大6種類のライディングモードなど最新装備を搭載。
※写真はオプション品装備済み車
新車価格 ●XRT:278万6100円
中古相場価格 ●XRT:244.2万円~248.43万円
アドベンチャーの代名詞KTM オーストリアが放つ常勝の輝き
KTM
1290 SUPER ADVENTURE R/S
早くから同ジャンルで際立った存在なのがKTMだ。'18年のダカールラリーも優勝し、17年連続2輪部門で優勝をしている。優勝マシンはもちろん競技用だが、市販モデルアドベンチャーとして、1290 SUPER ADVENTURER/Sをトップエンドに1090 SUPER ADVENTURE R/Sなど計4つをラインナップしている。
※写真は1290 SUPER ADVENTURE R
新車価格 ●R:211万9000円
日本に本格アドベンチャー時代到来!!
注目の最新ラインナップ大型編
'17年に250クラスのアドベンチャーモデルの登場によって選択肢が普通二輪免許まで広がり、ようやく日本にアドベンチャーというジャンルが独り立ちした。しかしその序章は、前年のCRF1000Lアフリカツインの登場からはじまっているのだ。ここではアドベンチャーモデルを代表する国内モデルに注目。大型クラスの充実がサイズダウンモデルへ広がり昨年のブームを創ったことがよくわかる。
'16 HONDA CRF1000L Africa Twin
国内販売は'16年2月。マニュアルとDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)車がラインナップ。270°位相クランクシャフト・クランクケース内蔵オイルタンク式ドライサンプ構造。水冷4ストローク4バルブSOHC並列2気筒エンジンを搭載。
新車価格 ●141万4800円
中古相場価格 ●96.95万円~152.11万円
'89 HONDA NXR750
'89年パリ・ダカールラリー優勝車。4年連続優勝(通算5勝)を達成した伝説の一台。大柄ながら軽快な運動性は、市販車アフリカツインに継承された。
'93 HONDA Africa Twin
3代目はモデルチェンジして300台の限定発売。フレームや外装パーツなど多数変更。販売終了の'00年までほぼ毎年台数限定発売でカラーリングが変更された。
YAMAHA XT1200ZE Super Ténéré
第1回パリ・ダカールラリーで総合優勝のXT500をルーツに、サハラ砂漠テネレの名を冠する。最新モデルではアシストグリップ、リヤキャリヤ、グリップウォーマー、さらに全体デザインを際立たせる右側サイドカバーを装備。
新車価格 ●176万400円
中古相場価格 ●119.6万円~168.9万円
完全新開発、完全復活!!マルチユースで再注目!!
'13年にホンダがダカールラリーへ復活参戦し、新アフリカツインの開発が決定し'14年ミラノショーにてTrueAdventureとして出品。'16年に待望の国内販売となった。もちろん大ヒット。今の突出したスペックを求めないマルチユースモデル人気、かつBMWやトライアンフまで価格的に手が出せないユーザーまで、あらゆる層を獲得したのだ。またスズキのVストローム1000/650シリーズも翌年にモデルチェンジ。アドベンチャーモデルが、初めてジャンルとして扱われはじめたのだ。ビッグオフ、ツアラーなど、その時々に姿を変えてきた国内のアドベンチャージャンルがこの'16年話題の中心となったことが'17年のブームの大きな序章となったのだ。
SUZUKI
V-Strom 650 ABS/XT ABS
'13年「快適アドベンチャーツアラー」をコンセプトに発売。最新モデルは'17年5月に発売。トラクションコントロールシステムやローRPMアシストを搭載。
新車価格 ●ABS:90万7200円
中古相場価格 ●ABS:39.9万円~85.68万円
SUZUKI
V-Strom 1000 ABS/XT ABS
'02年DL1000の名称で販売。エンジンはTL1000、燃料噴射装置はGSX-Rのものを採用。最新モデルは'17年6月に発売しクラッチで発進できるローRPMアシスト、IMUを搭載しABSと連携させ車体の安定を図るシステムを追加した。
新車価格●ABS: 140万4000円
中古相場価格 ●ABS:70万円~115.5万円
コレもアドベンチャー?
なバイクたち 第2弾
ここでも再び登場の「コレもアドベンチャー?」の第2弾。今回紹介したいのはドゥカティからムルティストラーダシリーズ。排気量と仕様で5機種がラインナップされていて、ひとつの車種とグレード分けで複数のカテゴリを網羅している。特にエンデューロは「前人未踏の道を制覇」を謡う、まさにアドベンチャーだ。
DUCATI
Multistrada 1200 Enduro
新車価格 ●272万円 中古相場価格 ●75万円~243.2万円
ムルティストラーダに30L容量のフューエルタンク、19 インチフロントホイール、長いサスペンショントラベル、ワイヤスポークホイール、サイドプロテクションを装備。走行モードやクルコンはじめその機能は満載だ。
ジャンル確立の証?
プラモデルも登場迫力満点
1/6スケールのバイク模型
1/6スケールで発売したタミヤのプラモデル。1/6スケールで同社からこのジャンルは初だ。ジャンルの存在感が高まったといえる?