現行R1200GSのエンジンを知る

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現行R1200GSエンジンを知る

現行R1200GS

既存オーナーも次期オーナーも
知っておきたいエンジンの中身

OHVボクサーなどの旧型モデルならいざ知らず、電子デバイスがふんだんに採用されている現在の水冷ボクサーエンジンの場合、実際のところセルフメンテナンスを行えると言えば洗車程度のものでしかない。しかしオーナーやこれから購入を考えているような方ならばエンジンの内部を見て、古くから作られてきたボクサーエンジンが今ではどのような進化を遂げたのかを知ることは、知識として得ておきたい部分であるに違いない。ここでは特別にディーラーメカニックによる現行R1200GS搭載のエンジンの分解、解説をお届けする。

01 水冷ボクサー

完全新設計の水冷ボクサー。駆動系内蔵クランクケース、ダウンドラフト吸気等、長年蓄積したノウハウをリセットして設計されている。

02
エンジン後方からの眺め

エンジン後方からの眺め。クランクシャフト下にミッションが配置されたことでクランクケースの幅が広がりシリンダーが短く見える。

03
クランクケース

真下から見ると左右分割クランクケースと左右シリンダーのオフセットが良くわかる。旧型にあった冷却フィンは廃止されている。

04 シリンダーヘッド

水冷といってもシリンダーヘッドとシリンダーのごく一部だけを冷却するもので(水冷35%・空冷65%)、シリンダーはほぼ空冷のまま。

05 オイルレベル点検窓

オイルレベル点検窓の赤丸表示の範囲は0.95L。センサーによってディスプレイにも表示できるが、この窓でチェックするのが基本。

06 オイルキャップ

オイルキャップは旧型と同じ。データでのオイル量は4.2Lだが、実数値はオイルだけなら3.8L、フィルター同時交換なら4.0L前後。

07 オイルフィルター

従来型と共通部品のオイルフィルターはシリンダー下に横向きに配置。走行風での冷却効果を狙ったと思われる。締め付けトルクは11Nm。

08 カムシャフト

旧型と完全に異なる内部レイアウト。上が吸気カムシャフト、下が排気カムシャフト。スパークプラグはシングルで燃焼室中央に配置。

09
カムシャフト

カムシャフトは小さなロッカーアームを介してバルブを押すS1000RRと同じ構造。同じツインカムでもF系やK系エンジンとは異なる。

10 アルミ鍛造ピストン

上下長が短いアルミ鍛造ピストン。ピストントップは燃焼室ぎりぎりまで盛り上がり、12.5という超高圧縮比を実現している。

11 フロントカバー内部

フロントカバー内部にはS1000RRと同じスリッパークラッチ内蔵の湿式多板式クラッチが配置される。操作に要する力は驚くほど軽い。

12
スパークプラグ

スパークプラグは点検・交換がしやすい。ヘッド中心の一本のみで、樹脂カバーを外すとすぐに現れる。プラグはNGK LMAR8D-J。

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