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バイクのクーラント(冷却水)を交換する方法!交換の時期や注意点も解説!

バイクの心臓部ともいえるエンジンは、稼働中は約800度と非常に高温になります。高温のまま走行するとオーバーヒートが起こり、エンジンが停止するため、安全に走行するには常時冷却が必要です。冷却方法は車種によって異なり、空冷式・水冷式・油冷式の3種類があります(空冷式と水冷式の併用、空冷式と油冷式の併用もあります)。

なかでも主流となっている方法が、専用の冷却水(クーラント)をパーツ内に循環させる水冷式です。

この記事ではクーラントの役割を紹介し、交換の時期や方法、注意点などを解説します。

バイクのクーラント(冷却水)とは?

はじめに、クーラントの役割や交換時期を見ていきます。

クーラントの役割

水冷式エンジンのバイクでは、ラジエター(熱交換器)が大きな役割を担います。シリンダーなど冷却経路を循環して高温になったクーラントは、ラジエター内で熱を放出し、温度を下げた状態で、再びエンジンに戻る仕組みです。

エンジンを冷却してオーバーヒートを避ける以外にも、クーラントには以下の役割があります。

  • 凍結防止

不凍液であるエチレングリコールを主成分としているため、凍結によるラジエターの破損を防ぎます。(水は、凍結によって約9%膨張するので、破損につながります)

  • サビや腐食の防止

クーラントには、エンジンや冷却系統パーツをサビや腐食から守る防錆剤が配合されています。冷却経路などにサビが発生すると、管が詰まりオーバーヒートの原因となるからです。

水道水は短時間のみなら代用可能

クーラントは原理的には水道水でも代用可能ですが、水道水にわずかに含まれるナトリウムなどの成分がラジエターのサビや目詰まりの原因になる場合もあります。ツーリング先でクーラントが用意できない状況での補充など、短時間の利用以外は避けたほうが無難でしょう。

なお、クーラントは通販のほか、カーショップやバイク用品店などで購入できます。

クーラントの交換時期

クーラントを長期間使用していると、クーラントの成分である安定剤や消泡剤が気泡となり、冷却効果を下げてしまいます。劣化したクーラントを使い続けると、ラジエターの目詰まりやウォーターポンプの作動不良の原因にもなり、オーバーヒートや凍結といったトラブルにつながるため、定期的な交換が必要です。

クーラントの交換時期は、バイクの説明書やマニュアルに記載されています。一般的な交換頻度は2年~3年に一度ですが、比較的新しい車種の場合は3年~5年となっていることもあります。

なお、クーラントが劣化すると、以下のような症状が発生します。

  • クーラントが変色している
  • ラジエターキャップにサビが発生している
  • リザーバータンクの冷却水が汚れている

このような症状が見られたら、目安の交換時期より前でも交換を検討しましょう。

車用のクーラントはバイクに使える?

クーラントはさまざまなメーカーから販売されており、「車用」と記載されているものもあります。基本的に性能は変わらないため、「車用」をバイクに用いることも可能です。

ただし、クーラントの色や希釈率には注意が必要です。詳細については後述します。

クーラント漏れは修理が必要

ラジエターキャップのパッキンや、ラジエターとエンジンをつなぐゴムホースなどが劣化していると、クーラント漏れが起こることがあります。クーラント漏れを放置すると、コンピューター制御によるエンストやエンジンの焼き付きなど大きなトラブルにつながるため、早急に対応が必要です。

クーラントは他のオイルなどと見分けがつきやすいよう、緑や青、ピンクなどに色付けされています。バイクからこのような色をした液体が漏れているときは、クーラント漏れを疑い、早めに修理を行ないましょう。

バイクのクーラントを自分で交換する方法

バイクのクーラントを自分で交換する方法

バイクのクーラントは、自分で交換することも可能です。交換方法の詳細を紹介します。

作業に必要な道具

クーラントの交換作業をするにあたり、作業に必要なおもな道具は以下のとおりです。

  • 古いクーラントを排出する際の受け皿(バットやケースなど)
  • クーラントを注ぐ際に使用するじょうご(漏斗)
  • 新しいクーラント
  • 交換用のラジエターキャップや、ドレンボルト
  • オイル吸収剤や高吸水性ポリマーなど

オイル吸収剤や高吸水性ポリマーは、古いクーラントを処分する際に使用します。クーラントの主成分であるエチレングリコールは、消防法上の危険物第4類(第3石油類)に指定されており、下水やトイレ、側溝などに流すことは法律で禁止されている成分です。

クーラントの処分方法は自治体により異なりますが、オイル吸収剤や高吸水性ポリマーなどで吸収させて固形化すれば、燃えるゴミとして処分できる場合があります。

クーラントの処理が不安な方は、自動車整備工場やガソリンスタンドが数百円程度の手数料で処分を引き受けてくれることがあるので、問い合わせてみてください。

古いクーラントを抜く

準備ができたら古いクーラントを抜きます。手順は以下のとおりです。

古いクーラントを排出する

ラジエターキャップを外し、ドレンボルトを緩めるとクーラントが排出されます。クーラントをためておくためのバットなどの受け皿を事前に置いておきましょう。

すすぎを行なう

ラジエターキャップから内部に水道水を入れて、すすぎを行ないます。

うがいを行なう

ドレンボルトを締めた状態で、水道水をいっぱいまで入れ、その状態のままエンジンを10分ほどかけて内部を洗浄します。終わったらドレンボルトを緩めて、水道水を排出します。

ドレンボルトを締める

水道水が抜けきったらドレンボルトを締めます。このとき、ボルトのネジ山を潰さないよう最初は手締めで行ない、次にレンチなどの工具でしっかり締めてください。

なお、ラジエターキャップやドレンボルトが劣化していると、クーラント漏れなど故障の原因になります。この機会に部品を確認し、必要に応じて交換しましょう。

リザーバータンクのクーラントも交換する

リザーバータンクは、クーラントの予備タンクです。リザーバータンクのクーラントを交換する手順は、以下のとおりです。

  • リザーバータンクを取り外し、クーラントを排出する
  • リザーバータンクの内部を洗浄する。サビ水がひどい場合は洗剤を使っても良い

新しいクーラントを入れる

古いクーラントを捨てたら、新しいクーラントを入れます。ラジエターキャップからじょうごを使用してクーラントを規定量注いでください。

リザーバータンクにも同様に、新しいクーラントを入れます。

クーラントのエア抜きをする

ラジエターに新しいクーラントを注入したら、エア抜きを行ないます。クーラントに空気が含まれていると、冷却能力が悪くなるためです。

作業手順は以下のとおりです。

  • ラジエターキャップを外したままエンジンをかけ、アイドリングする
  • 内部の空気がポコポコと上がり、クーラントの液面が下がるため、液を補充する
  • 空気が出てこなくなるまで作業を繰り返す
  • エンジンを切り、ラジエターキャップを締める

以上でクーラントの交換は終了です。車体にクーラントをこぼしてしまった場合は、ウエスなどで拭き取っておきましょう。

バイクのクーラントを交換する際の注意点

クーラントの交換は自分で行なうことも可能ですが、いくつか注意点があります。

必ずエンジンが冷めているときに行なう

走行直後のエンジンは非常に高温になっています。また圧力が内部にかかっているために、バイクから降りた直後にラジエターキャップやドレンボルトを開けると、高熱のクーラントが噴き出す可能性があります。

安全に作業するために、クーラントの交換は必ずエンジンが冷め切ってから行ないましょう。

希釈率に注意

クーラントには、原液のまま使用するタイプと、希釈して使用するタイプがあります。クーラント全体の交換ではなく一部補充する際には、希釈率の違うものを混ぜてしまわないよう注意が必要です。

希釈タイプは、一般的に2倍から3倍に希釈して使用します。クーラントには凍結を防ぐ成分が使用されており、濃度が濃いとその分凍結しにくくなります。そのため冬の寒冷地などでは、凍結防止を重視して、希釈率を低くする場合もあります。

希釈率に関しては、住んでいる地域やバイクの使用目的によっても異なるため、バイクショップのスタッフなどに尋ねてみるとよいでしょう。

色の違うクーラントを混ぜてはいけない

クーラントは緑、青、ピンクなどの色が付いています。着色の理由は、残量のチェックやクーラント漏れなどメンテナンスや点検の際にわかりやすくするためで、色による成分の違いはありません。

交換の際は好きな色を選べばよいのですが、補充の際には違う色を混ぜないようにしてください。色の違うクーラントを混ぜると黒く濁ってしまい、クーラントの劣化や漏れなど異常に気づきにくくなるからです。

交換はバイクショップでも行なえる

バイクのメンテナンスに慣れていない、クーラントの交換を自分で行なうのに不安があるなどの場合は、バイクショップに依頼するという選択肢もあります。費用はかかりますが、自分で作業を行なうよりも手間がかからず、確実に交換できるため安心です。

バイクショップでのクーラント交換の費用は、クーラント代1,000円~2,000円に加え、工賃3,000円~5,000円が相場です。ただし、カウルを外す作業などがあるとさらに工賃が高くなることもあります。詳細は、バイクショップに問い合わせてみてください。

まとめ

以上、バイクのクーラントを交換する方法を紹介しました。おもな内容は以下です。

  • バイクのクーラントの交換は一般的に2年~3年ごとに行なう
  • 交換の難易度は高くないため、自分でもできる
  • クーラント交換作業は、必ずエンジンが冷めてから行なう
  • クーラントの希釈率や色に注意
  • クーラントの交換は、バイクショップにも依頼できる

長期にわたりクーラントの交換を怠ると、エンジンの冷却が十分に行なわれず、オーバーヒートの原因になりえます。クーラントの不調は大きなトラブルにつながるため、定期的にメンテナンスを行ないましょう。

本記事は、2023年4月24日の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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