インタビュー

 楽しみだ。そんな吉村さんがホンダ入社後、最初に手がけたのが2サイクルモトクロッサー、エルシノアだった。「前例がなく、苦労しました。その後CBX1000の開発にもたずさわりました。6気筒という形態はグランプリマシン、RC165、166で使われた既存技術でしたが、100馬力240kgという、750以上のインパクトを持ったフラッグシップであるCBXと、250cc6気筒というグランプリマシン、という性格がまったく異なるため、共通項がなかったんです。とくに走行安定性をまとめあげるのが大変でした。いわゆるハンドリングなど、今は定量的なデータがありますが、当時はまったく手探りでしたから」
 吉村さんは並列4気筒の次世代モデル、VFシリーズの開発をも担当。「ここでも苦労しました。前輪荷重を増やそうとすると、V型シリンダーが前輪と干渉する。かといって分担荷重を考えるとエンジンを後ろに下げたくない。そこで16インチフロントタイヤという小径化をしたんです」

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