ときに、せわしなく走ることに疲れを感じることがある。初めからマイペースで走っている人も少なくないのだろうけど、たまたまオレはのんびり走る楽しみ方をよく知らずに生きてきた。気合いでアクセルを開け続けることにポリシーを持っていたのだ。……けれど、それをいつまでもは続けられないことを感じたりする昨今。
さて、そんな今のオレが、とにかく興味を持っているのは、クルーザーと言われるバイク。きっとアメリカンと言ったほうが通りがいいと思う。でも、見た目の雰囲気じゃなく、のんびりとどこまでも走れるようなバイクに興味があるという意味では、クルーザーとくくったほうがしっくりくる。
イメージするのは旅バイクだ。気ままな旅なんて、実際にはほとんどできないと知っているけど、チャンスがあれば、すぐに出掛けられそうなバイクがよかった。天気が良い日に、スッとまたがって家を出られそうな雰囲気のバイクが欲しいと思った。そして、ぴったり合いそうだと思えたのが、ドラッグスター400だ。
まず、気負わずに乗れそうなところがよかった。といっても、さらに大前提として、存在感のあるバイクでなくちゃ嫌だった。車両の見た目や雰囲気は気にしないほうだが、それでも、そこそこの存在感がなくちゃ所有する満足感も操る喜びも湧いてこない。その上で、扱いやすさだ。駐輪場から引っ張り出すのが容易で「さあ乗るぞ!」なんて気合いを入れなくても済む、精神的な負担の少なさそうなところがちょうどいい。
たとえば、長距離走行だけをラクにこなしたいのなら、もっと大排気量のバイクを選ぶところだろう。デカいバイクのほうが存在感もある。でも、気ままに乗り出せて、ときには寄り道をしながらテクテクと走るのだったら、そんなに重くないバイクがいい。日本国内じゃ、どうせ100q/hまでしかスピードを出せないのだから、出力だってほどほどでいい。
もちろんある程度はパワーがなくちゃ、運転がダルくなるからイヤだけど……と、いろんなことを考えていくと、ま、400ccって排気量は悪くない。むしろ、ちょうど良いくらいなのだ。それに、普通二輪免許で乗れるように作られている点も見逃せない。それは単に免許制度の問題だけじゃなく、扱いやすさもきっと普通二輪ライダー向けだろう……と。
ちなみにドラッグスター400は、ビラーゴの次の世代のクルーザーとして96年に登場。以来、細かな変更は行われているが、基本的なデザインは当時のままだ。現在に続く人気も、じつはそのデザイン面にある。迫力があり、そしてマイペースで走ってもさまになるスタイルが受けているのだ。
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