バイクは楽しい乗り物。グーバイク読者のみなさんなら、それは良くご存知のことだろう。同時に、少々不便な乗り物だということも知っているはずだ。冬は寒いし、雨が降れば濡れる。荷物は乗らないし、なにしろ支えていなければ転がってしまう。そんなデメリットを抱えていても、マイナス面を超える楽しさがバイクにはある。
とは言うものの「もうちょっと便利に使えたら・・・・・・」と、考えたことのあるライダーも多いはず。そんなユーティリティと、楽しさの妥協点にある乗り物。それがビッグスクターではないだろうか?
スクーターを作るというのは、僕らが想像している以上に難しいものなのだろうと思う。たとえば、最高のスーパースポーツを作るのは、誤解を恐れずに言えば簡単だ。なにしろ目的がハッキリとしている。速くさえあればいいのだ。
その点ビッグスクーターは難しい。ビッグスクーターほど、さまざまな使われ方をされ、使用目的がバラバラなバイクもないだろう。ある人は通勤時の利便性を最重視し、ある人は、ツーリングの時の快適性を求める。カスタムした時にキマるかどうかでマシン選びをするオーナーもいるだろう。
あらゆる使用条件で、あらゆる要望に応えなければいけないバイク、それがビッグスクターだ。今売られているビッグスクーターはどれも良いバイクばかり。その激戦区で、長きに渡って人気ナンバー1を誇っているのがフォルツァ。なにしろ軽二輪車の届け出台数で37ヶ月連続トップを記録。つまり3年に渡っていちばん売れ続けたバイクなのだ。
では、フォルツァのどこがそれほど良いか。じつはフォルツァには突出したところがない。スタイリングにはアバンギャルドさが足りないかもしれない。走りは最強という訳でもない。
けれどこのバイク、どこをとっても悪いところが見つからない。とにかく全体的に完成度が高い。パッケージとしての質の高さは、突出していると言えなくもないだろう。平均点が異常なレベルで高いのがフォルツァなのだ。
僕ならビッグスクータは仕事のアシに使う。だから、優等生のフォルツァを選ぶ。世界有数の渋滞都市である、東京を駆けまわるのにはバイクの機動性は欠かせない。移動の途中で首都高速にでも乗れば、マニュアルモードで遊んでストレス発散もできるだろう。
荷物の積載性は言うコト無し。ビッグスクーターの積載性はどれも優秀だが、フォルツァは内部形状がいい。トランクにノートパソコンを放り込んでも、なんの不安もない。乗る時のファッションを選ばないのも、ビジネスのアシとしてはうれしいところ。たまにはスーツを着ることもあるのだから。
ビジネスツールのひとつとして見れば、信頼性は高くなくてはいけない。そんな面でもホンダブランドの安心感は絶大だ。
もちろんツーリングに使っても、カスタムにハマってもフォルツァはしっかりと応えてくれるに違いない。基本性能が高く、それでいて無駄に個性を主張しない。どんな使用法にも対応するスーパー汎用バイク、それがフォルツァだ。
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