ファクトリーカスタムモデルもついにここまで来た。そう唸らされる一台がこのXL1200Vセブンティーツーだ。1970年代のアメリカで人気を博したチョッパースタイルを再現したスタイルは、ハーレーのラインナップ中でも異彩を放っている。
エイプハンガーハンドルバーに容量7.9リットルのピーナッツタンク、キャンディフレークの真っ赤な塗装、チョップド・リアフェンダーなど、カスタムのテーマに則った個性的なパーツがそこかしこに備えられており、その部位を見ているだけでもクセのあるバイクと思える。それでいてベースはフューエルインジェクション仕様の排気量1202ccエボリューションエンジンで、リアには最新式とも言えるストップランプ一体型ウインカーを装備。新旧がバランス良く融合した一台でもある。
見た目以上に驚くのがその乗り心地。両脇を真正面に突き出すような高さのハンドル位置は、一般的なバイクのそれとはまったく異なり、フォワードコントロールとされたステップ位置によって両足を突き出すようなフォームを強いられる。走り出せばその独特のスタイルに慣れるまで少々時間を要するが、コツを掴めば意外に扱いやすいことに気づかされる。
とはいえ、セブンティーツー本来の楽しみ方は乗り心地以上に“見せてナンボ”なスタイリングそのものにある。チョッパーハーレーへの憧れを抱く人がオーナーになった暁には、ここからさらにカスタムを施し、よりエッジの効いた一台に仕上げていって欲しい。
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