異径ヘッドライトや倒立フォーク、テールエンドに向かって跳ね上がった2-1-2マフラーで構成される新型ファットボブの姿は、見る人それぞれで多少のニュアンスの違いはあるにせよ、これまでのハーレーダビッドソンとは趣が異なる印象を抱くに違いない。
従来ならロー&ロングの車体がもたらす直進安定性を強みに、高速巡航力や快適性、そして大排気量ロングストロークVツインならではのテイスティなエンジンフィーリングが持ち味のクルーザー然としてくるのがハーレーの既定路線だが、ワインディングでエキサイティングなライディングが楽しめるようスポーティさを重視。これまでにはなかった狙いがそこにある。
それは新規ユーザーの獲得。クラシックテイストを持つトラディショナルなモデルがメインとなってきたソフテイルファミリーだが、ユーザーらの声に耳を傾けると、ライディング性能に対する不満もあることがわかった。そこで今回、ソフテイルフレームを大刷新し、クラシック志向に偏りがちだった既定路線を改め、幅の広いさまざまな持ち味を持つモデルが集まるニューソフテイルファミリーへと進化。ファットボブはスポーティさを追求した、言わば新ジャンルで、これまでハーレーに興味のなかった人たちにも関心を持ってもらおうというチャレンジングなモデルなのだ。
アメリカ・カリフォルニアの山岳路で試乗したが、その旋回性の高さは従来型とは比べものにはならない。アンチ・ハーレーの人にもぜひ試してほしい。
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