「よくぞここまで思い切ったな」
これがFLSソフテイルスリムの実車を目の前にした第一印象だ。一昔前までハーレーダビッドソンという乗り物は、手を加えて楽しむもの、というイメージが強かったし、実際そうしたユーザーが多かった。しかし、近年のハーレーダビッドソンは巷のトレンドを素早く察知して先回りするという手法で数多くの車両を生み出している。このソフテイルスリムはまさにその典型といえるモデルである。
イメージソースとなったのは、半世紀以上前に人気を博したボバースタイルだ。ボバーとは外装や装飾を取っ払い、レーサーのようなスパルタンさを追い求めたスタイルのことで、ビンテージハーレーの世界では今でも非常に人気の高いカスタム手法の一つである。
今回登場したFLSは、そうしたボバーのセオリーをしっかりと押さえたモデルと言える。短くカットされた前後フェンダーは見た目に軽快な印象を与え、さらに各部を効果的にブラックアウトすることで精悍なイメージを作り出すことに成功している。
ストリートへ繰り出してみても、見た目の印象を裏切らず、走りは軽やか。これまで前後16インチ車に対しては、どちらかというと鈍重なイメージを持っていたが、車重が同社の他の前後16インチ車よりも軽いこともあって、いつになく気持ち良く走りを楽しめた。
現代の機械的信頼性の高さを享受しつつ旧車の雰囲気を味わいたい―ソフテイルスリムは、そんなユーザーへ対する、ハーレーからの提案のひとつなのである。
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