レディ・トゥ・レース(そのままでレースに出られる性能を)をモットーとするオーストリアのKTMが造り上げた究極の旅バイクが1190アドベンチャー(以下ADV)。
ルーツは、パリダカを走るファクトリーマシンに近いデザインと構成を持つ、2003年発売の950ADV。2006年には、よりツーリングに適した装備を持たせた990ADVを発売。これらはいずれもフロント21インチ、リア18インチホイールというオフロードバイクでは標準的なホイール構成だった。
そして、より多くのツーリングユーザーが楽しめるよう、前後17インチホイールを採用し、2013年にリリースされたのがこの1190ADVだ。オフロード重視のライダーには、従来通り21/18インチホイールをもつ『R』が用意されている。
このモデルの魅力は、ツアラーながら230kg(満タン時)と軽い車体に152psのハイパワーエンジンを搭載していること、そして先進のデジタルデバイスを装備していることだ。
バンク角まで読み取るBOSCH製トラクションコントロールシステムは、砂の浮いた路面など滑りやすい場所で抜群の威力を発揮する。繊細なスロットルコントロールが求められるシーンでガンガン開けていっても、まるで滑ることなく走り、曲がってしまうから凄い。ブレーキングもほとんど介入を感じさせないABSによって安心感を高めている。
990に比べ低中速が扱いやすくなったエンジンは、ゆったりしたクルージングでもエンジンの味を楽しみながら走れる性格。大柄に見えるが乗るとコンパクトなので、小柄なライダーにもぜひトライしてほしい。
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