イタリアのスクーターブランド、ベスパを代表する大型モデルがGTS250である。GTSとはグランツーリスモの略で、長距離を高速で快適に移動できるスポーツモデルという意味。外装ボディがフレームを兼ねるスチールモノコック構造に水冷4スト単気筒244ccのパワフルなエンジンを搭載する。
見た目は大柄だが、跨ってみると意外にコンパクト。国産250ccスクーターと比べても全長は短く、逆にシートはやや高めで、背中を伸ばしてヒザを直角に曲げて乗る正統的なヨーロピアンスタイルとなる。
水冷250cc単気筒エンジンは最高出力21psとスペック的にはおとなしめだが、実際は十分にパワフルで高回転までよく回る。信号待ちからのスタートダッシュでもクルマの流れをリードできるし、高速道路では追い越し車線でもストレスがない。エンジン音は4スト単気筒らしい小気味よいパルス感があり、それでいて振動も少なく快適だ。
印象的だったのが車体剛性の高さで、スチールモノコックならではのカチッとした乗り味が美点だ。ブレーキはABSこそ装備されていないがコントローラブルで、前後サスペンションもスポーティな設定。12インチホイールは小回りが効くし、それでいて高速道路でも安定した乗り心地が得られた。
装備面でもグローブボックスやコンビニフック、シート下スペースなどの定番に加え、USBポートやクロームメッキのリアキャリアなども便利に使えそう。250ccという排気量も日本では重宝するはずだ。伝統の中にも新しさを感じさせる、絵になるスクーターである。
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