ヤマハYZF-R3は、R25の車体をベースに排気量を320ccにアップし、軽量コンパクトな車体に搭載したグローバルモデルである。もともとの扱いやすさに加え、動力性能が上乗せされているのが特徴だ。フルカウル仕様ではあるが、ハンドル位置は意外と高めでシートは低め。スリムな車体と相まって足着き性はかなり良い。
排気量が70cc増えた恩恵は、乗ってすぐに分かる。まず出足が鋭い。発進でのクラッチのつなぎが楽で、狭い交差点を曲がるときなども半クラッチでごまかす必要がない。さらに、高速道路では加速の伸びが違うし、登りのワインディングでもギアをキープしたまま行ける。というように、トルクの恩恵を行く先々で感じる。ピークパワーもさることながら日常域での扱いやすさも増しているのだ。
ハンドリングは基本的にR25と同じで、素直で扱いやすいのが美点。コンパクトでスリムな車体を生かした軽快さに加え、狙ったラインを外さない正確さも持ち味だ。トルクがあるぶん車体を振り回せるので、より軽快感が増している気さえする。前後サスペンションの動きもしなやかなで、YZF-R1にも通ずるスポーティかつ上質な乗り心地を味わえるのもヤマハらしい。ブレーキタッチも分かりやすくコントローラブルで、ABSの作動も自然なものだ。
機能美に満ちたメーターまわりやLEDテールランプをはじめ、全体的に質感が高く作り込まれている点も魅力。ベテランライダーが乗っても満足できる本格的スポーツモデルである。
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