ここ数年、海外ブランドの台頭が著しいスーパースポーツマーケット。しかし、その勢力図がまたガラリと変わりそうな雰囲気だ。
98年にデビューしたヤマハのYZF-R1は、ツイスティロード最速をコンセプトとして登場。08年にはクロスプレーン・クランクシャフトを用いるなどモトGPレプリカ的進化をするも、公道を軸足とするスタンスは変わらなかった。しかし、ニューR1はサーキット最速を命題に開発。軽量、コンパクト、そしてハイパワーと、市販車ではなかなかなし得なかった領域へと踏み込んだ意欲作となっている。
シート位置が高く、まんまレーサー然としたライポジはやや緊張感をともなうが、走り出した瞬間、そんなプレッシャーは簡単に消え去る。接地感が高いうえに驚くほど軽快。打てば響くレスポンスの良さに、人馬一体という言葉を思い出す。
ある回転域を境に豹変するような暴力的な加速などはなく、それでいてFISCOのストレートでは、あっという間に299キロの表示でメーターがフリーズする。
速いエンジン。良く曲がる車体に良く効くブレーキなど。そんな素性の良さを、最新の電子制御がアシスト。トラコンが、リフトアップコントロールが、ABSが・・・知らないうちにライダーを未知の領域へと連れて行ってくれているようだ。バレンティーノ・ロッシやホルヘ・ロレンソの活躍を思いながら、自分もそんなライダー気分に浸れる。
サーキットに軸足は置きつつ、一般ライダーも容易にその素晴しさを享受できる。市販スーパースポーツの理想形がここにあった!
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