V9ローマーは先に国内投入されたV9ボバーとともに2015年のミラノショーでデビューした、モト・グッツィの最新モデルである。V9ボバーが前後16インチのファットタイヤやマット調の渋いカラーリングを特徴としているのに対し、V9ローマーはフロント19インチの大径ホイールにメッキパーツを多用するなど、より正統的なスタイルを持ったイタリアン・クルーザーとして仕上げられている。
まず取り回しの軽さに驚く。大きく重いのがクルーザーの常識と思っていたが、同クラスの排気量で比べても軽さが際立っている。ライディングポジションは、V9ボバーに比べるとハンドルが高くワイドで、より上体が起きたアップライトな姿勢となっている。
V7シリーズをベースに改良・熟成が進んだエンジンは排気量が100cc増えてよりパワフルになっているのはもちろん、回転フィーリングがよりスムーズになっているのが印象的だ。元々持っている中速域での分厚いトルクはそのまま、吹け上がりに軽やかさが増した。シフト操作も滑らかでクラッチ操作も軽くなるなど、ギアチェンジや発進でのストレスが軽減された点も見逃せない。
ハンドリングはとても素直で安定感があり、フットワークが軽快なのはボバーと同じだが、フロント19インチということで、よりクルーザーらしい“鷹揚(おうよう)”なハンドリングに仕上げられているのが特徴だ。
洗練されたエンジンと乗り味で気楽にゆったりと、ときにスポーティに気持ちよく走る。都会からカントリーロードまで守備範囲の広いスタイリッシュなクルーザーである。
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