2011年にデビューしたディアベルの大ヒットを受け、クルーザーというジャンルに大きな可能性を見出したドゥカティが新たに開発したのがXディアベル/Sだ。
2011年に初めてディアベルに乗ったときの感動は、今でもよく覚えている。ロー&ロングの車体を得たディアベルは、ホイールベースが短くて車高が高いスーパーバイク系では躊躇するようなフルスロットルやフルブレーキングを気軽に楽しめてしまったのだ。その感触は、今回試乗したXディアベル/Sにも継承されているのだが、最大の魅力は、ゆったり流した時の充実感だと思う。
既存のディアベルを含めた他のドゥカティが、加減速時に最高の快感が味わえるのに対して、Xディアベル/Sは適度な速度を保って淡々と走るのがすごく楽しい。この乗り味は、かなり安定志向に設定された30度のキャスター角や1615mmのホイールベース、自然にリラックスできるフォワードコントロール式フットレスト、そしていかなるときも従順な反応を見せるエンジンの存在によってもたらされている。
とはいえ、話はそこで終わらないのである。乗り手がソノ気になってアクセルを全開にすれば、怒涛と言いたくなる加速を見せるし、コーナリングでは操る手応えがしっかり満喫できる一方で、車格が大きくなったことのネガはほとんど感じられない。乗り手が積極的にスポーツしたい!と思ったときのXディアベル/Sの感触は、紛れもなくドゥカティなのである。クルーザーならではの魅力だけではなく、スポーツバイクとしてのライディングプレジャーもしっかり盛り込まれているモデルといえるだろう。
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