2010年のデビュー以来、アドベンチャーモデルの世界的セグメントシェアにおいて25%という高い人気を誇るトライアンフ・タイガー800。その最新型にはいくつかの仕様があるが、今回試乗したのはオンロード志向の上級版『タイガー800XRx』だ。従来モデルからの大きな進化は電子制御システムが導入されたことだ。
グレード感が一段とアップした新型タイガーは、ラジエターシュラウドが大型化され、一見してアグレッシブな印象となっている。実際に跨ってみると意外とスリムでシートも低く足つき性が良い。走り出してまず感じたのは、エンジンのスムーズさ。従来モデルの3気筒独特のザラッとした回転フィールも悪くないが、新型ではパルス感を残しつつも回転がより滑らかになり、吹け上がりも軽くなった。シフト操作も以前より節度があり、スムーズにギアチェンジが決まる。
ハンドリングについては、フロント19インチの大径ホイールとスチールフレーム、長い脚を生かしたダイナミックでしなやかな従来どおりの走りが特徴。サスペンションの設定も絶妙で、ほど良いコシの強さとストローク感で、荒れた路面でも気にすることなく走破していける。
雨天では新たに導入されたライディングモードを試してみたが、スロットルマップを『RAIN』にするとレスポンスが穏やかになり、トラクションコントロールが滑りを絶妙に制御してくれるので安心だ。加えて、クルーズコントロールや可変式スクリーンが装備されたことによって高速走行がより快適になった。街乗りにも使えるサイズ感と積載性、スポーツ性能も含めた万能性も魅力だ。
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