ヴィクトリーは、98年に米国アイオワ州で誕生した新興クルーザーブランド。これまで、大排気量エンジンを使った個性的で現代的なデザインを持つクルーザーを手がけてきた。
このヴィクトリーが、16年型として導入したのがオクテインだ。同社初の水冷式となる60度Vツインエンジンは、ヒルクライムレースのパイクスピークを走破したマシン(プロジェクト156)の技術が注ぎ込まれ、最高出力103馬力を誇る。
適度に迫力あるサウンドを響かせるそのパワーユニットは、もちろん現代的な最新作なのだが、低回転域からどこか味もあり、退屈するような雰囲気はない。そしてスロットルを開ければ、1200ccクラスのクルーザーとしては比較的軽めな車体を、グイグイと前に進めていく。公称によれば、100km/hまでのゼロ発進加速は約4秒。足を前に投げ出すフォワードコントロールと、やや遠めにセットされたハンドルバーによる、いかにもクルーザーなライディングポジションであることから、ライダーがおいていかれるような痺れる加速感を体験できる。
鋳造アルミ製フレームを使った車体は、非常にスリムなイメージで、なおかつ長さも感じない。コーナリング時は、いかにも硬質なモノにまたがっているというイメージで、かなりニュートラルなハンドリングを楽しめる。すぐにステップを接地してしまうのが残念に思えるほど、なんの不安も感じられない。
クルーザーには乗りたいけど、退屈は嫌い。あるいは、スポーツモデルからクルーザーに乗り替えたい。そんな方々にもぜひお薦めしたい、本物のマッスルクルーザーだ。
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