モーターサイクル用スペシャルパーツを数多く開発してきたプロトが手掛ける完成車ブランド、「ゼロエンジニアリング」がリリースする量産市販モデルが「ロードホッパー」シリーズである。
今回試乗したのはS&S社製1340ccVツインを搭載する「タイプ9 EVO」。リジッドフレームと古典的なスプリンガーフォークの組み合わせが基本の同シリーズの中でも、唯一タイプ9だけはリアサスを装備しているのが特徴。マルチアームと呼ばれる独特のシステムのおかげで、乗り心地が向上している。低く長いシルエット、水平に伸びた右側2本出しマフラーなど、カスタムテイストを強く打ち出したモデルだ。
エンジンは往年のハーレーEVO80が持っていた3拍子リズムが見事に再現されていて、小気味よい鼓動感に乗せてゆったりと街を流しているだけでも楽しい。新型では従来のFIに変えてキャブレターが採用され、独特のまったりとした加速感がまたいい。しかもコンピュータで点火時期などが制御されているため、低速でも粘りがあるし始動性も悪くない。
ハンドリングもクルーザーらしい落ち着きがあり、兄弟車であるリジッドタイプのタイプ5よりは曲がり方も穏やか。フロント18インチ(タイプ5は16インチ)で車体も大柄ということもあり、高速道路での安定性も高い。リアサス装備による乗り心地の良さも含めて長距離もこなせそうだ。
往年のビンテージカスタムの雰囲気をピカピカの新車で味わえる幸せは格別のものだ。街ゆく人々の熱い視線を感じるのは、気のせいではあるまい。
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