グースネックと呼ばれるリジッドフレームにスプリンガーフォーク、約7リットルという容量のピーナッツタンク、前後16インチ径のホイールにファットタイヤという組み合わせ。そしてエンジンはハーレー・ダビッドソン製Vツインエンジンと、まるで進化する時代に逆行するかのような製品の数々を取り入れ、一台のバイクとして仕上げたロードホッパーType5i。無駄を削ぎ落しつつ、ロー&ロングと呼ばれる美しいスタイルを手に入れた同モデルは、古き良き時代のモーターサイクルが現代に蘇ったかのよう。これが、国産メーカーによる量産車両だと言うのだから、驚くほかない。
スロットルを開けると、エボリューションエンジンの心地よい鼓動が体に伝わってくる。半世紀以上も前のハーレーのベースであったリジッドフレームを採用していることから、そのダイレクト感は現代のモーターサイクルからは考えられないほどハードで、かつてはこんなバイクが世界中を走っていたのだろうかと感慨に耽ってしまいそうになる。
ポジションは驚くほどコンパクト。腰ほどの高さのハンドル位置にステップが前方に突き出したフォワードコントロールというポジションから、ライダーはくの字のようなスタイルになる。ホイールベースは1600mmとかなり長く、コーナーに差し掛かった際は“バイクを曲がらせる”ことを意識することが求められ、それがまた面白いのだ。
日夜進化するモーターサイクルの世界に、あえてビンテージスタイルでのバイクライフを提案するロードホッパー。そこから見える景色は、間違いなく唯一無二のものである。
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