ハンドルから上に視界を遮る物は何もない。バイクに乗って、こんなに広い世界が見えるだなんて感激してしまう。それがビッグクルーザー、ホンダCTX1300の水平基調デザインがもたらす新鮮なバイク感のひとつだ。
跨がってみれば、視界を妨げないショートスクリーンや、ハンドルより下にマウントされたバックミラーなど、あえて風をライダーに当て乗車感を追求した設計に気付く。
縦置きクランク・水冷90度V型4気筒DOHC4バルブエンジンは、あくまでジェントル。不快な振動も無い。理論上、90度V型なので1次慣性力振動はゼロ。残る2次振動も2軸2次バランサーでグッと低減されている(カップリング振動は残るが無視できる程度)。走行中、普段であれば不快になる風切音は、エンジンやエキゾーストノートとほど良く混じって耳に届き、ライダーは心地良い走行音に感じる。
そして縦置きV4のため、バイクの下まわりがスリムで、すり抜け時に縁石が気にならない。そう、意外にも街中での使い勝手が良いのだ。フラット6のGL1800/F6Bより全長、全幅(特に下まわり)ともに小さいから、見た目以上に機動性がある。全長でいうとCTX700より13cm長いだけ。スロットルを開ければ、加速はかなり良く、もたもたしているスーパースポーツを置き去りにすることもしばしば……と意外なスポーツ性を見せてくれる。
ハイウェイだけと思われがちなビッグクルーザーだが、街でも山道でも楽しく、しかも大らかさは圧倒的。他のデザインのバイクでは味わえない独特の世界観がある。
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