日本人の厳しい目と4メーカーの存在がカギ
日本の二輪新車市場は、おおむね年間40万台規模である。国内4メーカーを中心に、これをあと5年で100万台にまで引き上げる活動に取り組んでいるが、なかなか思うような成果を上げられずにいる。
にも関わらず、世界各国の海外二輪車メーカーは、日本での活動にもかなり力を入れているように思える。たとえばKTMは、スモールクラスのデュークやRCシリーズを、日本のショーで世界初公開することが多い。ドゥカティは今年、人気のスクランブラーシリーズに、日本の普通二輪免許でも乗れる399ccバージョンのSIXTY2をわざわざ追加導入している。これらは、海外メーカーが日本市場をいまも重視していることを示す一例である。
その背景として考えられる要因のひとつは、成長を続ける他のアセアン諸国などと比べて日本の二輪車市場規模は小さく、成長の可能性も少ないが、成熟した市場であり、目の肥えたユーザーが多くいるということが挙げられる。しかもそこは、世界を席巻する4メーカーのお膝元。彼らにとってはアウェイだ。その市場で活動することは、自分たちの実力を図ることにつながり、また数々の問題を洗い出す効果もあると認識されているのではないだろうか?
つまり日本の二輪車市場は、海外ブランドにとって最適なテスト市場なのだ。そして今後も成長が期待できるアセアン諸国でのことを考えたとき、体格が似る日本人ユーザーからさまざまな評価を得ることも、開発や改良のヒントにつながるはず。大切な試金石として、海外メーカーは今後も日本を無視できないだろう。
このことは我々ユーザーにとっても当然ながらプラスとなる。それは今後も、多くのニューモデルが投入される可能性が高まるから。そこには、16年型として新登場したBMWのG310Rのように、日本独自の排気量区分を考慮したときに、中途半端な感覚になる機種もあるとはいえ、選択できる機種のバリエーションが増えることは素直にうれしい。アジア市場を考えたとき、海外メーカーも小中排気量帯にこれまで以上の力を注いでくるはずなので、普通二輪免許で乗れる機種もより多くなるかもしれない。
ユーザーサイドとしては、テストフィールドとして使える厳しい目を保ちながら、海外ブランドの襲来を大歓迎していきたいものである。