バイク乗りとは、革新的な最新技術にワクワクする一方で、「今はなき・・・」にも敏感に反応する、
趣味人の集まりである。プレミア化している機種の多くは、
現代の最新機種にはない機構やデザインが与えられていることも多いのだ!
かつて採用された機構やデザインが、後に注目を集め、それを使った機種がプレミア化した例は数多くある。たとえば80年代前半には、国内4メーカーがこぞってターボチャージャー搭載車を開発。現行車にはない機構を備えた希少車として、現在では高値で売買されている。あるいはスズキのカタナシリーズのように、強烈に個性的なデザインが根強く支持される例もある。おもしろいのは、まるでピカソの絵が生前にはあまり売れなかったように、必ずしもそれらの機構やデザインが、新車発売当時に大人気となっていたとは限らないところか・・・。
コストカットや環境規制適合化などのさまざまな理由によって、現行車では使われていない機構が、
プレミア化の要因となっている機種は、意外と多く存在しているのだ!
【250cc INLINE FOUR】250cc四気筒
80〜90年代は、高性能な4気筒の250ccモデルはごく一般的な存在だった。しかし、90年代末と07年の排ガス規制強化により完全消滅。中古車の希少価値が突然高まった。
- 中古平均価格◎40.5万円
- 249cc水冷並列4気筒エンジンを、アルミ製の高剛性フレームに搭載した90年代レプリカ。低めのシート高も人気だった。
【TURBO CHARGER】ターボチャージャー
クルマの世界における70年代後半のターボブームを受け、80年代前半には国内4メーカーが、輸出用としてターボ二輪車を開発。しかしいずれも、ヒットには至らなかった。
- 中古平均価格◎132.9万円
- 738cc空冷並列4気筒エンジンをターボ化。国産のターボ車では最後発として84年に新登場した輸出専用車だった。
【Cam Gear Train】カムギアトレイン
ホンダは80 〜 00年代にかけて、エンジンの吸排気弁を動かすカムを、一般的なチェーンやベルトではなくギアで駆動する、カムギアトレイン機構にこだわってきた。
- 中古平均価格◎43.3万円
- 399cc水冷V4エンジンの90年代車。カムギアトレインの採用に加えて、400クラスのV型4気筒というのもレアな存在。
強烈な個性を放つ独特なスタイリングが、プレミア化の要因となることも数多くある。
デザインに関してはとくに、発売当初は人気がなくても後にブームとなる可能性を秘めた要素!
【HERITAGE STYE】ヘリテイジスタイル
まさに当時の歴史を感じさせてくれるのがこのジャンル。往年のスタンダードスタイルが、“本物”として現代のバイク乗りにもてはやされることも多々ある。
- 中古平均価格◎32.9万円
- 80年に輸出専用車として登場した105cc空冷単気筒のレジャーバイク。通称はハンターカブ。日本でも81〜83年に販売。
【AVANTGARDE】アヴァンギャルド
カウル付きバイクが主流となった80年代には、独創的なスタイリングの機種が多かった。ハンス・ムートがその基本をデザインした、カタナシリーズもそのひとつ。
- 中古平均価格◎125.4万円
- 初代カタナは輸出用の81年型GSX1100S(1074cc空冷4気筒)。レースベースに仕立てた1000も、現在のプレミア車。
【RETRO MODERN】レトロモダン
かつてのスタイルを取り入れたデザインを採用した機種の中には、発売当時にはウケなかったのに、年数が経つことで時代感が中和されて人気となる機種もある。
- 中古平均価格◎43.3万円
- スクーターとマニュアル車の中間的デザインに仕上げられた、92年発売の249cc空冷単気筒。当時は高くて売れず・・・。