趣味性の高さからくるコレクター要素がカギ
一般的に機械製品は、年数が経つにつれてその価値は減少する。たとえばエアコンや冷蔵庫、テレビやパソコンは、時代とともに高性能化し、旧型の価値は落ちていく。“世界最初の”など、よほどの枕詞がつかない限り、何十年も前の製品が高値で取り引きされることはまずない。
もちろん、バイクも機械だ。ところがこの世界では頻繁に、「古い」というだけでその価値が高まることがある。あるいは超高値ではなくても、劣化や減価償却を無視するように底値が維持されることも多い。
このベースとなっている事実のひとつが、「バイクは趣味のアイテム」ということだ。現在、世界でプレミア化しているバイクの大半は、ビジネス車や原付スクーター以外の機種。これらは、生活のアイテムというよりも趣味の道具として扱われる。つまり、古い楽器や骨とう品などが高騰するのと同じ要素を持っている。
またバイクは、その流通量が少ないこともあり、クルマと比べればはるかに、経年による値落ち率が低い乗り物だ。10年が経過したファミリーカーには、新車価格の1/10で販売される中古車も少なくないが、バイクの場合、10年落ちの車両でもせいぜい1/3の価格になるかどうかといったところである。
このようなふたつの背景が、絶版バイク高騰の下支えとなっている。そしてその一部機種に、「超希少」とか「根強い人気」とか「流行」などのさらなる理由が加わることで、驚くほどの高値に発展していくのだ。
価格高騰のもっともベーシックな条件となっているのが、「発売当時に名車とうたわれ、そこから数十年が経過」だろう。
ここに挙げたのは、年数の経過によって価格の上昇傾向が続いている機種の一例。アンティークとしての価値基準かも!?
- 中古平均価格◎41.7万円
- 60年代レーサーをモチーフに設計された、49cc空冷4スト単気筒の原付MTスポーツ。97年に登場も、約3年で廃版に。レース専用モデルのみ09年まで販売された。
- 中古平均価格◎424.6万円
- 81年と82年のAMAスーパーバイクで、エディ・ローソンが駆るKZ1000で王者に輝いたことを記念して、82年と83年に発売。Z1000Jベースで、ビキニカウルも特徴。
- 中古平均価格◎142.7万円
- 69年に発売開始。量産車として世界で初めて、200km/hを突破した。736cc空冷並列4気筒エンジンを採用。78年型のK8(国内はK7)まで販売された。