近年の車両で採用が進む各種電子制御技術。それらの中でも安全に繋がる技術に注目しよう。
雨の日に大きなアドバンテージとなるはずだ。
ライダーなら誰しも愛車の性能をフルに発揮させたいと考えるものだ。だが、相当な鍛錬を積まない限り、どんな状況でも意図するままにマシンを制御するのは不可能に近いと言っても差し支えないだろう。人間の能力には限界があるのだ。
近年、多くの車両で電子制御を使った各種装置が搭載されている。外気温やスロットル開度に合わせて混合比を最適化するフューエルインジェクションに始まり、ブレーキング時のロックを防ぐABS、強大なパワーを制御し、効果的なトラクションを生み出すトラクションコントロールなどなど、これまでほんの一握りのライダーにしかコントロールできなかった領域の操作が、電子制御によって誰でも体感できる、そんな時代になったのだ。
ひと昔前では、「電子制御の世話になんかなりたくない」なんて事を言うライダーも多かったが、明らかに人間の動作よりも早く、そして確実に仕事をこなす各種制御は、一度体感するとその恩恵の大きさに誰もが納得するはずだ。人間の身体はいつでもベストパフォーマンスを発揮できるわけではない。身体が疲れていたり、冷えていたり、眠かったりすると、普段はできる動作にも遅れが生じたり、動作すらおぼつかないことだってある。つまりバラつきがあるのだ。でも、電子制御ならいつでも確実な動作が約束されている。これからバイク選びを行うのなら、こうした機能に注目するのはマストだ。
最近ではABSの装着車両が増えてきた。一時期よりも価格的な負担も少なく、小排気量車での採用も増加中だ。トラクションコントロールに関しては、まだまだハイエンドの制御であり、各メーカーのフラッグシップクラスでないと装着されていないのが現状だが、雨の中でも萎縮せずリラックスして走りきれる。気を使わずに済むということは、精神的疲労が少なくて済むということ。つまり、安全にも繋がる。
ここ5年ほどの各社フラッグシップ車なら中古市場でも出回っているから、今後中古車を選ぶ際には、こうした各種電子制御の有無についても把握しておきたいものだ。
- ■トラクションコントロール
- 最高出力が大きいほど、そのパワーを制御するのは難しくなる。不用意なアクセル操作では、一瞬にしてリアタイヤがグリップを失ってしまう。それを防ぐのがトラクションコントロールだ。近年の“トラコン”では、モード切替も多く採用されており、その多くでレインモードが用意されている。まさに雨の日の不用意なスライドを防ぐためのモードだ。天気に関係なく安全な旅をしたいのなら、トラコン装備の車両がオススメだ。
BMW R1200GS
- 新車価格◎ 224万1000円(税込)
- BMW最新のABS・トラコンを装備した陸の王者。電子制御については世界最先端の技術を誇るBMWだけに信頼性はすこぶる高い。
YAMAHA YZF-R1
- 中古平均相場◎ 115.9万円
- クロスプレーンエンジンにヤマハ独自のトラコン“TCS”を組み合わせる。スポーツ走行や雨の日でも大きな威力を発揮してくれる。
SUZUKI
SKYWAVE400 TypeS
- 中古平均相場◎ 67.2万円
- 車重が大きく、タンデム走行で使うライダーも多いビッグスクーターでは、ABS装備がありがたい。誰でも安心してブレーキを握れる。
HONDA VFR1200F DCT
- 中古平均相場◎ 136.7万円
- 前後連動ABSのほか、トラコンを装備する。またDCTモデルはクラッチ操作なしで走れるので、雨の日でもライディングに集中できる。
KAWASAKI ZZR1400ABS
- 中古平均相場◎ 165.3万円
- 超高速ツーリングも可能なメガツアラーながら、ABSとトラコンも備える。こうした大排気量&大パワー車こそ、電子制御の恩恵は大きい。
HONDA CBR250R ABS
- 中古平均相場◎ 41.4万円
- 250ながら、ABSモデルを用意するCBR。スポーツ走行をしても邪魔に感じないABSの味付けは誰でもその恩恵に預かることが出来るはず。