Text/Ryo Tsuchiyama
Photo/Takashi Akamatsu,Toru Hasegawa,Takamitsu Masui,Kousuke Kawai
400ccを超える大排気量のオフロード車の世界は、トレール車・デュアルパーパス車ともにかつてはとてもマニアックなものとして捉えられていた。ところがどうだろう。2003年にBMWがR1200GSを発売し、それが世界的な大ヒットを収めると状況は一変する。それまでマイナーだったカテゴリーは一気にメジャーとなり、他メーカーも次々とGSのフォロワーを市場へ投入するようになった。
数多くのフォロワーを生み出しながらも、この分野でのBMWの求心力と一歩先を行く開発力は、昨年デビューした水冷R1200GSを見れば誰もが納得するものだ。だが、追随する他メーカーの車両を見渡してみると、それぞれのカラーが良く出ていてとても魅力的なのである。また、ライダーからしてみれば、これまでBMW以外の選択肢を挙げることが難しかった分野で、純粋に数多くの車両の中から好みの1台を選べるようになったことは、このカテゴリーの大きな進化のひとつと言える。
かつてはデュアルパーパスと呼ばれていたカテゴリーもいまでは“アドベンチャーツアラー”とも呼ばれるようになった。近年の車両は信頼性の高いエンジン、タフな車体、ライダーを疲れさせない快適装備などなど大陸をまたぐ壮大な旅に対応できるほど充実した内容で、まさに冒険旅行のようなタフな旅を可能にしているのだ。事実、世界にはそうした車両で数年がかりで世界を旅する猛者たちもいる。もちろんそれは極端な例だが、その気になればそんなことだってできてしまう。次頁からは、それらモデルの魅力を具体的に探っていこう。