有料道路を降りて、初めに向かったのは山中湖だ。そして次に河口湖へと駒を進めた。まずはメジャーどころの湖から攻めていこうという作戦だ。けっして、期待していないところからササッと流そうと思ったわけではない。
ひとつ目、山中湖周辺には、富士山が美しく見える場所がたくさんある。遠くからの富士山は東京より北からでも見えるものだが、間近で見る富士山はやっぱり迫力が違う。それに、バイクで移動するたびに見え方が変わるのも、近場で見るからこその良さだろう。
さて、今回のツーリングコースに館山を選んだ理由は、第一に暖かそうな気がしたからだ。春本番となって、ずいぶん走りやすくはなってきたものの、やっぱり自然と足が向くのは南の方角だ。それともうひとつ、せっかく風が暖かくなったのだから、ちょいと長い距離を走りたかったってこともある。ただし、結果的には予想以上に長距離だったのだけど……。
ふたつ目、河口湖側からの富士山は、ロープウエイで登った天上山の展望台からの眺めが最高だった。ふもとに富士急ハイランドや街並なども見える。にぎやかな雰囲気だ。観光客がいちばん多かったのも、河口湖周辺で、海外から来る人も随分と見受けられた。
みっつ目の湖は西湖。このへんから、だんだんと周辺の雰囲気が怪しくなってくる。人通りは少なく、観光客はめっきり見かけない。湖畔を走っていても、ときおりツーリングライダーや、地元のクルマとすれ違う程度だ。
西湖自体は、見たところごく普通の湖。ただ、湖の南側には、一度迷い込んだら出てはこられないと言われる青木ヶ原樹海が広がっている。毎年死体が見つかることでも知られる、不思議な場所だ。
ちなみにオレは、テレビの画面や写真でこそ青木ヶ原樹海を知っているものの、実際に足を踏み入れたのは今回が初めて。でも、ほんのちょっと樹海に入っただけで、これこそが富士山なのだと実感することができる。地面はコケや落ち葉で輪郭がはっきりしないものの、激しくデコボコしているのはたしか。明らかに溶岩が固まってできた土地なのである。
その樹海の中は足場が悪く、なかなか先に歩き進めないし、戻るのもしんどい。起伏が激しいから見通しが悪く、ほんのちょっと通りから入っただけで、すぐに入った場所を見失いそうになる。周囲をぐるっと見渡しても同じように樹木が生えているだけで、なんお目印も内。……ヤバイ場所だということだけは明らかなので、早々にバイクのところに引き返した。
よっつ目の湖、精進湖に向かうと、周辺はさらに寂しさを増す。湖畔にはボートが置かれ、宿泊施設もあるから一応は観光地っぽい。でも、どことなく、うら寂しいかんじだ。最後に向かった本栖湖にしても、精進湖ほどではないものの、やはり独特の雰囲気がある。なんとなくだが、寒々しい感じ。
……訪れる季節が早すぎたのか?陽が傾きかけていたからそう感じたのか?それとも、これが富士山周辺の本当の姿なのか?
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